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青木宣親、アストロズ移籍の謎。
契約内容にいくつかの疑問が……。 

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ナガオ勝司

ナガオ勝司Katsushi Nagao

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posted2016/11/09 11:10

青木宣親、アストロズ移籍の謎。契約内容にいくつかの疑問が……。<Number Web> photograph by AFLO

今季成績は118試合の出場で打率.283、4本塁打、28打点、7盗塁。新天地については「若い選手も多くていいチームだと思う」とコメント。

ウェブサイトに記載された契約にも……。

 というのも、日本で海外FA権を取得するのは日本プロ野球で9年、ポスティング制度の行使までには年数こそ決まってないが、比較的短かったダルビッシュ有投手や田中将大投手でさえ、7年もかかっている。

 米国なら中堅かベテランの扱いになるそんな選手が、米国のアマチュア選手(今季レッドソックスの田沢純一投手もこれに該当する)のように大リーグ移籍後6年間もプレーしてFA権を取得するのはフェアじゃない。そこで日本人選手の代理人たちが「XX(B) FA」という条項を契約に盛り込むようになったのである。

 青木もその1人だったが、なぜかマリナーズと結んだ彼にとっての大リーグ3度目の契約には、「XX(B) FA」の条項が含まれていなかった。

 日本のメディアが参考にする各種のウェブサイト(Cot's Baseball Contractsほか)に記されている青木の契約内容「今季年俸は550万ドル。480打席に立てば、来季600万ドルのVesting Optionが自動的に更新される(これも正確ではないが、コラムの内容とは関係ないので割愛する)」にも「XX(B) FA」の条項は記載されておらず、それは明らかだった。

年俸調停権は持っているが、FA権はまだない。

 今季2度にわたってマイナーに降格して467打席に留まった青木はFAにはなれず、大リーグ歴4年+今年の大リーグ所属日数となり、つまり「年俸調停権は持っているが、FA権はまだ取得できない選手」ということになる。

 青木にとって気の毒なのは、彼が今季マイナーに降格している間、本来ならば加算されていたはずの30日前後の大リーグ歴を損失したことだ。前述の通り、大リーグ歴は1年172日で換算されるので今季140日前後の青木は大リーグ歴5年を満了できなかった。ということは2017年を大リーグで終えても大リーグ歴6年に達することはできず、FAになるのは早くても2018年になってしまう(年俸調停権を取得している選手がXX(B) FA条項を付帯して契約した前例はないらしいので、アストロズとの来季の契約内容にそれを盛り込める可能性は低い)。

【次ページ】 ひどい契約にはならないと思うが……。

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