オリンピックへの道BACK NUMBER
本田真凜と紀平梨花のライバル関係。
会場を熱狂の渦に巻き込んだ名演技。
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byKyodo News
posted2016/10/16 11:00
本田真凜(左)と紀平梨花(中央)のライバル関係は、日本女子の力をさらに高めていくに違いない。
「最後、いいところだけを獲ればいいかなと思います」
演技を終えた本田は、「満足している」と言う一方で、何度もこう口にした。
「悔しいです」
そしてこう続けた。
「最後、いいところだけを獲ればいいかなと思います」
最後とは、世界ジュニア選手権のことだろう。そこにも負けん気が表れていた。
紀平は1歳上の本田をこう語る。
「本田選手は世界で戦っていて、見習うところがありますし、勝ったという実感はありません。(一緒に練習できることが)いい環境だなと思います」
一方の本田は、紀平についてこう表現した。
「毎日練習も一緒、リンクもチームも一緒で、すごくすごく、刺激になります」
試合後、引き上げる紀平を人々が拍手で称える。敗れた本田も、それ以上かと思うような拍手に包まれる。
「観にきて、ほんとうによかった!」
「いいもの、観たね!」
そんな言葉が数々飛び交った今大会。それぞれに持ち味を発揮し、場内を興奮に包むハイレベルな演技をぶつけあい、豊かな将来をあらためて思わせた2人は、互いを成長の糧として、進んでいく。