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マスターズで勝てば即日本の賞金王?
時代遅れのシステムに再検討の光を。 

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桂川洋一

桂川洋一Yoichi Katsuragawa

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posted2016/10/09 11:00

マスターズで勝てば即日本の賞金王?時代遅れのシステムに再検討の光を。<Number Web> photograph by AFLO

今季のゴルフ界の顔になったローリー・マキロイだが、実は賞金では4位。日本から見ると少し違和感もあるが……。

10月の世界選手権は賞金王レースに加算されない。

 谷原が目下「迷ってるんですよね。どっちを狙うべきか」というのが、10月末に中国で行われる世界選手権シリーズ(WGC) HSBCチャンピオンズへの出場である。大会前週の月曜日の時点で、日本ツアーの賞金ランク5位までの選手から希望者ふたりに出場権が付与される。WGCの獲得賞金は、以前は日本ツアーの賞金ランキングに加算されていたのだが、2010年から対象外になった。

 優先すべきは、日本の賞金レースか、それともWGCで得られる高い世界ランキングポイントか、と実に悩ましい。

日本人がマスターズで優勝したら春先に賞金王決定!?

 そしてWGC獲得賞金が加算されない一方で、4大メジャーで得た賞金は日本男子ツアーの賞金ランキングに100%反映される。かねて懸念されているのが、日本ツアーの選手がメジャーで大活躍した場合の賞金レースの動向だ。

 マスターズの今年の優勝賞金は180万ドル(約1億8000万円)だった。もしも日本ツアーのメンバーがグリーンジャケットを着ていたら、昨年キム・キョンテが賞金王に輝いた際の額1億6598万1625円を春先にいきなり上回ることになる!

 もちろんマスターズ制覇という偉業は、日本ツアー賞金王の称号よりも大いに讃えられるべきではあるが、後半戦のタイトルを巡る争いは長いシーズンの醍醐味のはずだ(ちなみに、いま日本人でもっともメジャー制覇に近いであろう松山の場合は、優勝しても日本のツアーメンバーではないため賞金王にはならない、というオチがつく)。

「日本人選手が活躍したら、賞金レースがつまらなくなる」なんていう、ネガティブな発想でメジャーを見るのは、ちっとも楽しくない。お隣のアジアンツアーは、メジャーでの獲得賞金はランキングに50%の額を加算することで、バランスを保っているという。

 現行の日本の賞金レースは、精査して考えていくと、どうもそんな“いびつさ”が気になる。選手とファンが、日本ツアーのシーズンと、世界での戦いを前向きにリンクさせる、新しいシステム。世界的に賞金王の価値が揺らぐいまだからこそ、検討する時期としてはふさわしいかもしれない。

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谷原秀人
ロリー・マキロイ

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