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メダルから音が鳴り、施設が充実。
パラ五輪を充実させたリオの人々。 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAFLO

posted2016/09/22 11:00

メダルから音が鳴り、施設が充実。パラ五輪を充実させたリオの人々。<Number Web> photograph by AFLO

マラソンで銀メダルを獲得した道下美里は、視覚に障がいがある。メダルから音がする、というのはなんとも粋な計らいだ。

5回目のパラリンピックの成田は「いちばん」と。

 一方で、リオ・パラリンピックは選手から高い評価を得た。

 それはメダルに限った話ではない。競泳日本代表の成田真由美は、過去4回パラリンピックに出場した経験と照らし合わせ、こう語る。

「今まででいちばん、よかったと思います。食堂にも1人で行けるし、どこにでも1人で行ける作りになっていました。エレベーターも多かったですし、私が経験している中では、なかったことです」

 他の選手の話でも、施設の作りが動きやすさに配慮されており、ストレスがなかったことが伝わってきた。

 施設や設備面に加え、評価が高かったのは、「人」だ。競技会場、あるいはその周辺で、有償、無償を問わず多くのスタッフが働いていた。

 彼らの姿勢が、選手やメディアに強い印象を与えた。何のてらいもなく、笑顔でサポートをする。それもまた、大会への評価へとつながっている。

困った人を自然に助け合う空気が大会を覆っていた。

 そしてそれは、運営に携わるスタッフばかりではなかった。

 施設の作りに配慮がなされてはいても、競技場の周囲も含め、段差など車いすでは簡単に進めない場所はもちろんある。

 パラリンピックでは、来場者の中にも、車いすを利用している人が少なからずいた。しかし、彼らがうまく進めずに困っていれば、通りがかりの人々であったり、みかけた人たちが手を差し伸べていた。あまりにも自然な光景だった。

 別れ際には、手を差し伸べた人たちが、ごくごく自然な笑顔で親指を立てて去っていった。手を差し伸べた人、差し伸べられた人、その間に楽しそうな空気すら感じられた。

 競技施設内外の、そうした情景もまた、大会の空気となっていただろう。

 振ると音が鳴るメダル。選手にストレスのない施設設計。何よりも、人々の姿。

 リオ・パラリンピックが残した選手たちへの、大会をさまざまな形で体験した人たちへの記憶と情景。それは、4年後、2020年の東京大会へと思いを至らせる。

 それらは大会を成功へと導くものは何かを、示唆してもいる。

 いや、4年後のみの話ではない。日常の光景への問いかけでもある。

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