松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
柔らかく人懐っこくなった松山英樹。
愛され度がわかるファンとの距離感。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2016/08/23 17:00
松山英樹は、日本で想像する以上に世界のゴルフファンから愛されている。英語も少しずつ上達中だ。
「悪い」自覚と、確かな「拠り所」のバランス。
全米プロで4位に食い込み、2週間のオフを経て挑んだウィンダム選手権は初日から4アンダー、8位の好発進。フェアウエイとグリーンを捉え続ける安定したショットと手慣れたスコアリングで、松山のレッドナンバーは日に日に増えていった。
パットも決して悪いわけではなかったが、決めどころのパットに限ってカップに蹴られたり舐めたりで、フラストレーションの溜まる展開だった。バーディチャンス、イーグルチャンスを逃したパットがどれほどあったことか。「それらが入っていたら」と、見ている方はついつい思ってしまうほど、惜しいパットの連続。
いや、実を言えばショットも、データ的には見事でも松山本人の満足度はむしろ低く、「いい球が1発も出なかった」、「強いて言えば1回か2回かな?」という状態だった。
それでもスコアをしっかり作り出し、リーダーボードをしっかり昇ってハングオンしていたことで、ともあれ結果を求められるプロゴルファーとしては合格点だと感じていたのだろう。ショットもパットも「悪い悪い」と言い続けてはいたけれど、拠り所をしっかり持つ者だけが醸し出す余裕が松山に戻りつつある。
最終日に解説者に絶賛されたショット精度。
首位と6打差の6位で迎えた最終日。米国のTV中継の解説者から「ボール・ストライキング・マシーン」と評されるほど松山のショットは冴えていた。だが、決めどころのパットはこの日も沈めることができず、機械のごとき精度でショットし続けたわりにはスコアを伸ばし切れなかった。首位を独走し、初優勝を挙げた韓国の21歳、キム・シウから6打差の3位。
「ショットは(自信が)0%から5%ぐらいへ戻ったかな。パットは初日が50だとしたら、それが日に日に無くなって今日は3%ぐらい。でも自分の中では全然良くない中でも、いつも通り、いい感じでスコアを作れているし、順位的にも10位を保って終われたのは良かったかな」
振り返れば、6月7月はメモリアル・トーナメントを皮切りに全米オープンでも全英オープンでも予選落ちを喫し、スランプ説まで囁かれていたが、一転して全米プロでは4位、今大会は3位。