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甲子園初勝利のいなべ総合。
「野球ノート」で磨いた力とは?
text by
安田未由Myu Yasuda
photograph byKokoyakyu.com
posted2016/08/23 11:20
いなべ総合は今大会で春夏通じて甲子園初勝利。3回戦敗退で8強入りこそならなかったが、その溌剌としたプレーで大いに甲子園を沸かせた。
投手も打者も、みんなフォームをノートに書き込む。
イラストの下部には、「体重移動、突っ込みとは違う、軸の移動」など、書きながら学んだことを記す。これはバッターも同じで、バッティングフォームの連続イラストを日々、野球ノートに書き込む。この効果について尾崎英也監督は言う。
「書きやすいように、事前にさまざまな写真やイラストの入ったプリントを渡して、毎日書かせています。不思議なもので、フォームの悪い選手は欠点をそのままイラストに描いていたりするんです」
例えば、体が早く開きすぎるクセがある投手は、それがイラストに表れるというのだ。実際、彼らの野球ノートを見ると、投手、打者問わずその傾向は顕著だった。尾崎監督は続ける。
「こういうものを参考に修正点を指導していくと良くなっていったりする。ノートを通して本当にいろいろなものが見えてきます」
いなべ総合野球部のモットーは「人間力で勝つ」。
一方で、精神面でも野球ノートは大きな役割を果たしている。いなべ総合のモットーは「人間力で勝つ」。それを体現するシーンが試合の中にある。
投手は、マウンドへ向かうとき、インフィールドの白線の手前で立ち止まると、帽子を取ってグラウンドへ一礼をする。イニングが終わると、プレートにかかった砂を払い、ベンチへ駆け出す。そして、白線をぴょんと飛び越えると再びマウンドに向かって一礼をする。これは野手も同じで、守備に着く際、グラウンドへ一礼をする。