マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
甲子園を“日常感”で戦った大曲工。
日頃の練習を出し切った満面の笑顔。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2016/08/17 07:00
大曲工業は、全校生徒415人のうち62人が野球部員。夏は初出場だが、強豪を相手に堂々たる戦いを見せた。
高橋の硬い表情と、藤井の満面の笑顔の理由は。
しかし、試合後の2人。
出し切れなかった高橋昂也の硬い表情と、出し切った藤井黎来の透明な汗を噴出させた満面の笑顔。
確かに“立場”の違いは大きかったかもしれないが、共に高校球児という共通の立場で考えれば、これだけの違いがなぜ現れなければならないのか。
勝者は勝者であり、勝者が敗者を装うことはない。
持てる力をすべて発揮して、尚、力及ばず。
スコアボードを眺めれば、スコアは6-1で花咲徳栄の勝利を示しているが、日頃の練習で積み上げてきたことをどれだけ体現できたのか、どれだけ試すことができたのか。それを表記してくれる“もう1つのスコアボード”があったとしたら、この試合のスコアはもしかしたら逆になっていたのかもしれない。