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8年ぶりの五輪で棒高跳び7位入賞。
澤野大地35歳、今も貫く不屈の心。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byAP/AFLO

posted2016/08/16 16:00

8年ぶりの五輪で棒高跳び7位入賞。澤野大地35歳、今も貫く不屈の心。<Number Web> photograph by AP/AFLO

3度目の五輪、35歳にして、五輪での自己最高位を記録した澤野。断続的な豪雨の中、ベテランらしい冷静さで跳躍を成功させた。

「36歳でもできます。年齢とか本当に感じていません」

 8月14日、ついに迎えたリオ五輪、予選を経て日本勢でただ1人決勝に進む。

 迎えた決勝は、激しい雨の中で行われた。競技の進行は滞り、明らかに苛立っている選手もいた。

 だが、澤野は落ち着き払っていた。

 競技が始まると、有力視された選手が崩れる中、最初の5m50を一発でクリア。悪条件のもと、この記録が決め手となり澤野は7位入賞を果たしたのである。

「自分自身、オリンピックで初めての入賞です。素直に喜びたいと思います」

 これまで澤野は、大きな大会では不運なアクシデントに見舞われたり、持てる力を出し切れずに終わることが少なくなかった。

 しかし、この日の澤野は違った。落ち着きと、どこか楽しそうにも見える表情が、これまでの彼の姿とは異なっていた。同時に、集中を途切れさせないタフさも身につけていた。

 競技レベルを維持するためのトレーニングを怠らなかったのはもちろんのこと、メンタル面の成長こそが、35歳での入賞の原動力となった。悪条件であったからこそ、この日の澤野の佇まいはそれを強く感じさせた。

 ロンドン五輪出場を逃し、大きな怪我を負ってもあきらめずに継続を選んだ心の強さこそが、記念すべき入賞へたどり着いた最大の理由だ。

 長い道のりの末に手にした35歳での初めての入賞は、大きな価値がある。

 澤野は9月に36歳を迎える。だがこう語る。

「36歳でもできます。年齢とか、本当に感じていません」

 自身の可能性を、さらに追求していこうとしている。

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