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あのスラッガーたちの今を尋ねて。
「王二世」阿久沢毅(桐生)の場合。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byShigeki Yamamoto
posted2016/08/12 11:30
阿久沢監督、群馬県立勢多農林高校での指導風景。元西武の山崎敏などを輩出している硬式野球部である。
なぜ「王二世」は野球を辞めたのか?
当時の紙面に表れていたのと変わらぬ朗らかさで、阿久沢は38年前のフィーバーを振り返る。「2年秋まで無名だったのに、選抜が終わってからあちこちに招待試合で呼ばれるようになってさ。PL学園にも行ったんだよ、初めて新幹線に乗って。金石君(昭人=元日本ハムなど)からホームランを打ったな。当時から松本みたいな技巧派は苦手だったけれど、本格派の速球なら不思議と打てたんだ」。
そして、話は核心へ。「王二世」はなぜ、野球を辞めたのか。
当時の報道では前述の通りプロ野球に興味がなかったことや、安定した職業に就きたかったことが理由として挙げられていた。しかし、今回の取材で阿久沢は、野球を辞めた理由にはスラッガーとしてのある「挫折」が関係していると、38年目にして初めて口にした――。
高校教師となった阿久沢毅(桐生)の他にも、北海道の石油化学工場で働く「打率7割の捕手」糸屋義典(駒大苫小牧)、愛媛県でガソリンスタンドを営む「伊予のドカベン」今井康剛(松山商)、指導者として清宮を教えた「恐怖の9番打者」山口博史(池田)、そして群馬県で妻とともにレストランを切り盛りする「ブラジリアンスラッガー」瀬間仲ノルベルトが登場。甲子園の打席に立つのと同様に堂々と働く彼らの姿は、ぜひNumber 908・909・910号「甲子園 最強打者伝説。」でご確認ください。