岩渕健輔、ラグビーW杯と東京五輪のためにBACK NUMBER
日本ラグビー、強化指針の過渡期。
スコットランド戦連敗をどう見るか。
text by
岩渕健輔Kensuke Iwabuchi
photograph byAFLO
posted2016/07/16 11:00
6月25日のスコットランド戦では逆転負けしたが、25歳のスクラムハーフ茂野海人がトライを決めるなど新世代の成長を感じさせた。
3年間でトップ10との対戦を10試合程度実現させる。
ただし、これはテストマッチや国際大会に向けた準備を疎かにするという意味ではもちろんありません。むしろ私たちには、日本ラグビー界の最大の武器である「準備力」を、さらに発揮することが求められています。
実際問題、2019年が近づくにつれてサンウルブズは代表チームと限りなく一体化していきます。サンウルブズと日本代表という2つのチームをシームレスにマネージメントし、最大限に強化の成果をあげるためにこそ、真の準備力を発揮しなければならないのです。
むろん、私自身も代表のGMとして、さらに様々な計画を立てています。
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いささか矛盾するような書き方になりますが、サンウルブズの活動がいかに充実し、日本代表と連動が取れるようになっても、それだけでは十分ではありません。代表としての活動そのものも、より充実させなければなりませんし、新しい体制の下で養われた総合力を、強豪国とのテストマッチを通じて一層、高めていく必要があるからです。
ちなみにテストマッチに関しては2016年、2017年、2018年の3年間でティア1との試合を、10試合程度は実現させたいと思っています。
プロジェクト型からシステム型の強化への変貌を。
すでに今年はスコットランドと2試合を行いましたが、秋にはヨーロッパに遠征し、ジョージア、ウェールズ、そしてフィジーとテストマッチを行うことが決まっています。
またスーパーラグビーのシーズンが終わると同時に、ヘッドコーチであるジェイミー・ジョセフも指揮を執り始めます。これによって新たな指針に沿った日本代表の強化が、さらに進んでいくことは指摘するまでもありません。
タスクフォース、プロジェクト型の代表強化から、世界の強豪と日常的にしのぎを削ることを前提にしたシステム型の強化に変えていくつもりです。
日本代表は2019年に向けて急速に変わり始めています。RWCイングランド大会を上回る成績を残すという目標を達成するために、私たちはこの瞬間も前進し続けているのです。
(取材・構成=田邊雅之)