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五輪で選手が抜けて辛いJクラブは?
立場と選手層で見ていくと実は……。
text by
原山裕平Yuhei Harayama
photograph byJ.LEAGUE PHOTOS
posted2016/07/08 11:00
塩谷司が五輪で、浅野拓磨が移籍で抜ける広島。CS出場圏まで勝ち点差4、五輪期間は正念場だ。
正GKが抜けるダメージは、想像以上に大きい。
選択肢がないという意味では、より苦しいのは広島かもしれない。昨季のJ1王者であるこのクラブは現在、最終ラインに怪我人が続出し、すでに人材が不足している。今季序盤戦に佐々木翔が今季絶望の怪我を負い、水本裕貴も右第3中足骨骨折で8月下旬まで復帰できない。この状況下で塩谷までも抜かれてしまうのだから、もはやまともにメンバーを組めない状態だ。
3バックを形成する広島の最終ラインで、レギュラークラスは千葉和彦のみ。残り2枚は成長著しい宮原和也と、本来ボランチの森崎和幸を回す策で乗り切るだろうが、両者もともに身長170センチ台と高さが足りず、フィジカルを前面に押し出してくる相手との対戦では、苦戦は免れないだろう。
正GKの中村がいなくなる柏も、苦しい戦いが待ち受けるはずだ。ミスが結果に直結してしまうGKは、最も個人の力が影響されるポジションである。実は前回大会でも、権田修一を送り出したFC東京は、守護神不在の五輪期間中の3試合で1分2敗と苦しんだ。同じ守備の人材である徳永悠平がオーバーエイジとして選出された影響もあった。
バックアップメンバーを送り出す柏も辛い状況に。
その意味では、実は柏も状況は同じだ。柏ではもうひとり、バックアップメンバーとしてCBの中谷進之介がチームに帯同することが決まっている。今季レギュラーを勝ち取った中谷も、「不動」のカテゴリーに位置づけられるタレントなのだ。バックアップメンバーは8月1日からの合流で、通常メンバーと比べれば拘束期間は短いといえども、守護神に加え、レギュラーCBも不在となるのだから、そのダメージは相当だろう。
その他、神戸は岩波、FC東京は中島と室屋が選出されたが、いずれの選手も怪我の影響でこれまで出場機会を多く得られていなかっただけに、五輪期間中は現状維持のチーム力を保てると考えていい。
こうしてみていくとチームによって、その影響度が大きく異なっていることが理解できる。そして冒頭のテーマの結論を導き出すとすれば、最も影響が大きいのは「広島」と「柏」ということになるだろう。五輪期間中の両チームのパフォーマンスに、一層注目したい。