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幼年の錦織圭が書いた「ラッキー論」。
運も味方にウィンブルドン2回戦突破。
posted2016/07/01 11:20
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
AFLO
勝負事には運・不運、巡り合わせのよしあしはつきものだ。いいときはトントン拍子だが、ダメなときは、もがいてももがいても好結果につながらない。
先の全仏オープン以降、錦織圭は巡り合わせのよくない時期に入っていたようだ。
全仏前哨戦のローマで4強入り、準決勝ではノバク・ジョコビッチとファイナルセット・タイブレークの接戦を演じた。しかし、前哨戦3大会の疲れも出たのか、本番の全仏は4回戦でリシャール・ガスケに完敗。3回戦あたりから調子は下り坂で、ガスケ戦では雨の影響も受け、文字通りショットが湿った。また、第1セット途中の降雨中断は、出足の悪かったガスケに味方した。全仏は昨年に続き、ランキングで下位の地元選手に敗退という苦い結果となった。
芝コートシーズンに入り、最初の大会、ハレ(ドイツ)では1回戦で左脇腹を痛め、2回戦を棄権した。蛇足ながら、錦織の棄権で白星が転がり込んだ32歳のベテラン、フロリアン・メイヤーは、この時点で192位までランキングを落としていたが、勢いに乗ってこの大会を制してしまう。
2回戦を順延にした今回の雨は、恵みの雨。
錦織もウィンブルドンで新規まき直しを誓ったはずだ。だが、ハレで痛めた左脇腹には痛みが残り、1回戦では試合中にトレーナーを呼び、マッサージを受けた。無難に3セットで勝利したものの、コンディションについて試合後、こう話している。
「明日見てみないと何とも言えない」
試合翌日の練習はごく軽いものだった。2回戦は中1日で現地時間29日に予定されていたが、当日朝の練習もまた軽めだった。試合直前の調整とはいえ、一度も全力でラケットを振り切ることなく練習を終えた。
ところが、その日のウィンブルドンは悪天候で、錦織の2回戦は結局、中止になった。
これで、もう1日、リカバリーの時間ができた。