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「対世界」の感覚を取り戻せるか。
男子バレー、五輪への活路はサーブ! 

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米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byAFLO

posted2016/05/30 17:30

「対世界」の感覚を取り戻せるか。男子バレー、五輪への活路はサーブ!<Number Web> photograph by AFLO

脚を大きく後ろに反らせて打つ柳田将洋のサーブ、アタックは息をのむほど美しい。

柳田のジャンプサーブは世界でも有数の威力。

 この日の柳田は61.9%という高い決定率を残し、セッターの深津英臣は、「今日は柳田が当たっていたので彼にボールを集める時間が多くなったけど、乗っている選手に決めてもらうことで、僕もチームも楽になった」と感謝した。

 柳田は昨年のワールドカップでレギュラーをつかみ、一番の武器である強力なジャンプサーブでサーバーランキング全体の5位になるなど存在感を発揮し、石川とともに人気が爆発した。2015-16V・プレミアリーグには、サントリーに所属する柳田見たさに多くの観客がつめかけた。

 しかし今年の全日本では、柳田のスタメンが約束されていたわけではなかった。昨季ブラジルリーグでプレーしたベテラン、福澤達哉が代表に復帰したからだ。

 3月から始まった代表合宿では、石川の対角に柳田と福澤が日替わりで入り、5月上旬のアメリカ遠征では、4試合すべてに福澤が先発した。

「今、不安ですね。開幕はどっちなんだろうって」

 帰国後、柳田はこうもらしていた。

「去年は、『自分がスタメン獲りにいっちゃえ』ぐらいの感じでやっていたけど、今年はちょっと感覚が変わった。『自分がスタメンを取られないように』という意識が芽生えて、去年よりも必死になっている自分がいる。やっぱり手放したくないですからね。福澤さんがいいモチベーションを与えてくれていると思うし、練習からプレッシャーがかかっています。1つのプレーで、自分じゃなく福澤さんが選ばれる可能性もありますから。もう、アピールアピールアピール! みたいな感じです」

「サーブを打つ時には、サーブのことだけを」

 モチベーションが上がる一方で、ライバル意識がプレーの邪魔をすることもあった。

「たとえばサーブを打つ時には、サーブのことだけを考えていたい。打つ時に、『オレがあの人よりいいところはこれだから』とか『あの人よりいいサーブを打とう』と考えちゃうと、背伸びしちゃうからダメなんです。でもそれが今は混ざってしまっているから、あんまりいい感じじゃない。アメリカ遠征でも、アメリカと戦っているのと同時に自分とも戦っていて、思いっきり力が入ってしまいました」

 最終予選の開幕までには「自分をうまくコントロールしていきたい」と語っていた。

【次ページ】 中国戦では一転、日本のサーブが機能しなかった。

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