濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
K-1の会場を満員にする王者・武尊。
“スターになるために”生まれた男。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2016/05/01 10:30
ムエタイのランカーに対して見事なKO勝利。屈託のない笑顔で勝利を喜ぶ武尊。
ムエタイをリスペクトしても「K-1が最強」。
「僕はK-1が最強だと思ってるので」と試合後の武尊。
K-1ルールでムエタイに勝っても……というマニアの声が聞こえてきそうだが、もともとムエタイとの対戦を武尊が望んだ理由の1つは「軽量級ではムエタイに勝たなければ意味がない」といった批判に応えるためでもあった。結局、何をしようが“アンチ”は出てくる。つまりそれが、人気者の証明でもあるということか。
ちなみに武尊は「高校時代、学校休んでタイに(練習に)行くくらいリスペクトしてるんで、タイ人と闘えてよかった」とも語っている。「K-1最強」発言は、ファイトスタイルと同様、一般ファンに向けた分かりやすさ重視のものだったのだろう。
コラボTシャツが5分で完売する過熱人気ぶり。
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「1人じゃ道を歩けないくらいのスターになりたい」、「野球やサッカーも含めて、全ジャンルがライバル」と言う武尊。その夢は、急速に実現に向かっていると言っていい。『RIZIN』参戦でファンを増やし、芸能プロダクション・浅井企画の協力もあってテレビ番組に出演することも多くなった。人懐っこい性格から共演した芸能人と仲良くなり、彼らが応援に来ることで、さらにその知名度は上がっていく。
K-1トップファイターによるファンミーティングには、地方からの申し込みも多かったという(その人気ぶりは、ツイッターで「武尊」ではなく「武尊くん」で検索してみると、より伝わってくるものがある)。
アパレルブランド『HTML ZERO3』とコラボしたTシャツの先行販売は5分で完売。試合会場の“出待ち”に加えて大会前後の公開記者会見にも列ができる。スタッフがプレゼントやファンレターを託されることも珍しくなくなった。大会翌日の会見には、スタッフが会場入りする前から待っていたファンも。