濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
吉田沙保里の好敵手がMMAデビュー!?
村田夏南子の可能性とRIZINの未来。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2016/04/24 10:30
2016年4月現在、アマレスの世界ランク16位という、名実共にトップアスリートの村田。22歳の若さも魅力で、成長が楽しみな逸材である。
話題性と試合内容の充実を両立させる難しさ。
榊原信行実行委員長、高田延彦統括本部長の“PRIDE体制”が運営するRIZIN。今は桜庭和志やヴァンダレイ・シウバをはじめとするPRIDE時代からのビッグネームを起用して話題性を高めつつ、若い選手を育てている時期だ。
大物ベテラン選手を重用すれば“過去のネームバリューに頼りすぎている、旬のマッチメイクが見たい”という批判が出てくる。といって若い選手ばかりでは1万人規模のアリーナを埋められないし“地上波コンテンツ”として心許ないという事情もある。
RIZINが本格的にブレイクするとしたら、村田やRENA、ギャビ・ガルシアといった女子選手や、今大会のメインで藤田和之をKOしたイリー・プロハースカのような新鋭が、その潜在能力を爆発させた時だろう。
第2のシウバ、ヒョードルは生まれるか!?
思えば、ヴァンダレイ・シウバにしてもエメリヤーエンコ・ヒョードルにしても、初来日の時点では無名選手だった。そこから強さとキャラクター、主催者とメディアのプロデュースによって大スターへと成長していったのだ。
格闘技をめぐる環境は大きく様変わりしているが、村田やプロハースカも“大化け”する可能性をもっている。いまRIZINを見ているファンは、いわば未来の可能性に投資している状態だと言えるだろう。
もちろん、ファンに投資ばかりを強いるわけにはいかない。熱心なコア層ばかりではなく、移り気とも言えるライト層を取り込んでこそのビッグイベントでもある。だから“気長に待とう”とは言えないのだが、少なくともRIZINには、見続ける価値のある選手が何人もいるということは間違いない。