相撲春秋BACK NUMBER
白鵬が浴びた大阪のシビアなヤジ。
「銭の取れる相撲」に値しない千秋楽。
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byJMPA
posted2016/04/05 11:00
白鵬はこれで4場所ぶり、36度目の優勝。自身の持つ史上最多優勝記録を更新した。
これからも続く「横綱の修行」の道。
真の相撲ファンは国籍のフィルターを通さずして、真摯に土俵に立つ姿だけを見る。“横綱相撲”には歓声を上げ、惜しみなく拍手を送ってくれるはずだ。
相手を流血させるプロレス技のエルボーのごとき“かちあげ”、過去にも再三注意を受けていた“ダメ押し”、結びの一番での変化。もし、これらすべての批判を白鵬自身が自ら「国籍の違い」を理由にして、そこに落とし込んでしまっているのなら――これは大いに憂うべきことである。
36回の優勝を数えた今、その土俵上での姿には、大横綱としての矜恃を見て取ることができなくなった。
男の修行ならぬ「横綱の修行」の道は、これからも続くだろう。双葉山が目指した「木鶏」の境地に、白鵬が近づく日は来るのだろうか。