フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
世界フィギュア女子はロシアvs.日本。
宮原、浅田、米国勢もメダルを狙う。
posted2016/03/29 17:30
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Asami Enomoto
ボストンで3月30日から開催される世界選手権。米国で、世界選手権が開催されるのは2009年以来7年ぶりのことである。
日本でのフィギュア人気とは裏腹に、米国ではここ10年ほどはフィギュアスケート人気が盛り上がらず、地上波でのテレビ放映も減少する一方だった。だがさすがに地元開催の本大会はNBCで生中継されるとあり、USFSA(米国フィギュアスケート連盟)も力を入れている。
米国の頼みの綱は女子。
だが現実的に、アメリカの選手でボストンで表彰台に上がるチャンスがあるのは女子シングルとアイスダンスのみ。特にやはり花形である女子には、期待が寄せられている。代表はグレイシー・ゴールドとアシュリー・ワグナー、そして3人目のポリーナ・エドモンズは怪我で欠場となり、補欠の長洲未来が代わりに出場することになった。
先日NBCが行った、コメンテーターのジョニー・ウイアーとタラ・リピンスキーの電話記者会見では、「他のトップ女子がミスをしなくても、米国女子にメダルの可能性はあると思うか」という質問が出た。
リピンスキーは、「あると思う。今のトップ女子のレベルはとても高いが、特にグレイシー(ゴールド)とアシュリー(ワグナー)は技術的にも、経験も劣っていない」と答えた。
地元開催の影響はどうはたらくか?
実際のところ、グレイシー・ゴールドの自己ベストスコア205.53は、歴代女子の中で第11位。アシュリー・ワグナーの202.52は第13位である。
彼女たちの上にいる選手の中で、今回の世界選手権に出場するのは日本の浅田真央、宮原知子を含めて5人いる。
だが試合では何が起きるかわからない。
特に地元開催のパワーも否定できない。
2009年のロサンジェルス世界選手権では、優勝候補ではなかったエヴァン・ライサチェックがタイトルを手にした。ソチ五輪では、ほぼノーマークだったアデリナ・ソトニコワが金メダルを獲得し、団体戦でもユリア・リプニツカヤに驚くほどの高いスコアが出た。
こうした地元開催の応援の力、会場の盛り上がり方は、選手の演技や採点にかなり影響があることは、これまで何度も証明されてきた。ボストンでも、特に女子ではサプライズがあるかもしれない。