フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
世界フィギュア女子はロシアvs.日本。
宮原、浅田、米国勢もメダルを狙う。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2016/03/29 17:30
「(世界選手権は)2回目の出場なので、だいたい雰囲気は想像できます」「順位よりミスがないことを……」とコメントしている宮原。
本郷理華は、表現強化に取り組んでいる。
今年で世界選手権二度目になる19歳の本郷理華は、昨年度は6位と健闘した。ジャンプが比較的安定している本郷にとって、今の課題はその技術に見合った表現力やスケーティング技術などをつけていくこと、と四大陸試合後に語っていた。
「以前より足首をもっとよく使うようにしている。前はジャンプでもスケーティングでも力を入れて滑ってしまう癖があったが、力が入ると減速してしまう。それを少しずつ直して、自然と滑っていけるようなスケートをできるように練習しています」
そのほかの課題は、ルッツのエッジと、構成点でもう少し点を上げたいということ。それ以外も手の使い方など細かいところで、課題はたくさんあるという。振付師として教わっている鈴木明子からは、音楽の使い方、強弱の取り方なども指導を受けている。ボストンでの目標を聞かれると、「中国杯では190点台を出すことができた。次に目指すところは200点。すぐに達成できることではないけれど、積み重ねていつかできるようにしっかり頑張りたい。自分の納得できる演技ができれば、順位はついてくると思う」と答えた。
浅田真央に望むもの――。
日本のフィギュアスケートファンにとってもっとも気になるのは、全日本選手権以来、試合に顔を見せていない浅田真央の動向だろう。
今シーズンの競技復帰の前半は快調なスタートだったが、後半に向かってジャンプが少し不調になり、本人も迷っている様子が見えてきていた。
四大陸選手権を辞退して、ひたすらトレーニングに集中してきた彼女が、ボストンでどのような演技を見せてくれるのか。
試合に出るからには、当然本人も結果を出したいと願っていることだろう。だが個人的な気持ちを白状するなら、今の彼女にとって、どのジャンプの回転が足りていたかとか、スピンのレベルが獲得できたかどうか、というようなことはもう瑣末的なことではないかと思う。
もちろん技術的なミスが出れば、本人らしい表現を発揮することは難しいだろう。だが何より、世界で「浅田真央」にしか見せることのできない、人の心の琴線に触れるプログラムを堂々と見せて、笑顔で演技を終えて欲しい。
それが正直な気持ちである。