フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
世界フィギュア女子はロシアvs.日本。
宮原、浅田、米国勢もメダルを狙う。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAsami Enomoto
posted2016/03/29 17:30
「(世界選手権は)2回目の出場なので、だいたい雰囲気は想像できます」「順位よりミスがないことを……」とコメントしている宮原。
なぜロシアの女子選手は成績の起伏が激しいのか?
だが普通に考えて、今回の最大の優勝候補はやはり今シーズン、ずっと勝ち続けているロシアの16歳、エフゲニア・メドベデワだろう。
シニアデビューをした今シーズン、GPファイナルで優勝し、欧州選手権でタイトルを獲得。その勢いは、まるで留まるところを知らないようだ。
ロシアというのは不思議な国で、昨年はエリザベータ・トゥクタミシェワがまさに今年のメドベデワ状態だった。さらにその前年は、ユリア・リプニツカヤがソチ五輪をも制する勢いだった。だが今シーズンは、トゥクタミシェワもリプニツカヤもロシア選手権で勝ち抜けず、世界選手権の代表にすら選ばれなかった。
次から次と出てくる才能の豊潤さにも驚くが、そのサイクルの早さも他国にはちょっと例を見ない。メドベデワがボストンでどのような演技を見せるのか、さらに来シーズンにはどんな選手になっているのか、世界中が注目している。
宮原知子にメダルの期待。
そんな中で日本の選手たちは、着実に一歩ずつ実績を築き上げてきた。
特に18歳になったばかりの宮原知子は、昨年初挑戦したこの大会で銀メダルを獲得。今シーズンを通して試合でほとんどミスのない、安定した演技を見せてきた。
台北の四大陸選手権で、214.91というスコアで自己ベストを更新。海外の記者から「昨年の上海(世界選手権)では必ずしもメダル候補ではなかったけれど、この強さをシーズン通して保ってきた秘訣は何か」と質問されると、宮原はこう答えた。
「自分では毎回の試合でしっかり、自分にできる一番良い演技をするということを意識しているだけで、あまり自分が強いという感じはない。まだまだもっと強くなっていかないといけないなと思っています」
ボストンでも完ぺき主義の彼女らしい安定した演技を見せることができれば、表彰台に上がる可能性が高い。