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中日「ポスト谷繁」論争に決着の時!
“中村武志似”の桂依央利に期待大。
posted2016/03/16 10:30
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
NIKKAN SPORTS
そろそろ決着をつける時が来た。
何より、当人たちがそう思っているに違いない。
ポスト谷繁をめぐる中日ドラゴンズの正捕手争いについてのことだ。
球界を代表する捕手が引退すると、必ずといっていいほど「ポスト○○」という言葉が報道に溢れる。谷繁以外にも古田敦也(元ヤクルト)や矢野燿大(阪神)が引退した際にも、念仏のように「ポスト○○」論が唱えられてきた。
ただ、そもそも同じような捕手など存在しないのだから、偉大なる捕手の残像をいつまでも引きずるのではなく、新たなタイプの捕手の誕生を歓迎したい。
ヤクルトは、古田とは異なるタイプの捕手・中村悠平を見事に育てあげた。投手陣を丁寧に扱うことに長け、かつセカンドへのスローイングが常時1.9秒台で正確性もある。中村は、球界屈指のキャッチャーという評価を確立しそうな勢いで成長しているといえるだろう。
谷繁の後継者を探し続けている中日。
さて、中日ドラゴンズである。
ここ数年、谷繁元信の後継者探しに奔走してきたことは過去のドラフトの指名を見ても明らかだろう。7年目を迎えた松井雅人に4年目の杉山翔大から毎年1人ずつの捕手を獲得。桂依央利、加藤匠馬ときて、今年は社会人のトヨタ自動車から木下拓哉が加入。その争いは激しさを増している。
その中で、個人的に注目しているのが桂である。
太成学院大高、大商大を経て3年目になる、ディフェンス力に長けたキャッチャーだ。一時期はイップスの兆候が見受けられたが、今はそれも乗り越え、正捕手の座獲得に名乗りをあげている。昨オフは意欲的に台湾のウインターリーグにも参加した。同い年のルーキーを迎え、2016年は勝負の年になる。
そんな彼に注目する理由の一端には、担当スカウトの存在がある。