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3度の怪我を乗り越え、現在絶好調。
岩渕真奈「普通にはなりたくない」
posted2016/02/26 10:30
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph by
Itaru Chiba
2月のミュンヘンは凍てつくような寒さだ。岩渕真奈はコートのポケットに手を入れ、大きなマフラーに顔を埋めて、待ち合わせ場所に現れた。カフェラテで暖をとりながら、話を聞きはじめた。
2015年、岩渕は怪我に泣かされ続けた。2月に右ひざ外側側副靭帯損傷、リハビリを経てシーズン終了の2試合前に復帰したものの、5月にはW杯前の代表合宿で内側側副靭帯を損傷。大会メンバー入りは果たしたものの、途中出場5試合にとどまった。
そして、オフを挟んで迎えたプレシーズンの終盤、8月下旬には再び外側靭帯。今度は断裂だった。さすがに手術が必要になり、所属するバイエルン・ミュンヘンの許可を得られたことから、約1カ月間帰国し手術とリハビリを行った。バイエルンに戻りリハビリを続け、チーム練習に合流したのは12月だった。約半年間ピッチから離れて過ごしたことで、結果として全ての怪我が収束したようだ。
「内側(靭帯)やってからは膝にサポーターを巻いて練習していたんですよ。でも、それで外側(靭帯)を怪我しちゃって、ギプスの生活をしてたら内側も治ったんで、結果的には良かったといったらアレですけど……」
外側靭帯の負傷は2回とも同じプレーで起きた。
時間こそかかったが、現在は好調そのもの。後半戦最初の試合も先発起用され、リオ五輪予選の直前合宿メンバーにも招集された。
だが、それまで膝の負傷を昨年だけで3度も経験したことは、プレースタイルについて考えるきっかけになった。負傷の原因は接触ではなく自分のプレー、それも得意とするドリブルによるもの。特に2度の外側靭帯の負傷は、同じ動き、同じようなシチュエーションで起きているのだという。
「かなりのスピードで進んでて、結構ボールが離れてたのをアウトサイド一発で切り返したんですよ。その動きに多分、膝がついていけなくて。でも、その動きをなくしたら自分じゃないっていうくらいに自分の大切な動きだから。何に原因があるかって言ったら自分自身ですけど、でもプレースタイルを変えたら自分じゃなくなっちゃうんだろうなっていう気持ちの方が強いです」