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U-23に、満たされない男がひとり。
浅野拓磨、韓国戦で必ずゴールを。 

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戸塚啓

戸塚啓Kei Totsuka

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2016/01/29 11:15

U-23に、満たされない男がひとり。浅野拓磨、韓国戦で必ずゴールを。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

ドーハの地でも浅野のスピード、ロングボールへの対応は際立っている。後はゴールだけだ。

武蔵が怪我、南野も離脱で浅野に注目が集まる。

 悔しさが胸に突き刺さるのは、もちろん初めてではない。Jリーグのベストヤングプレーヤー賞に輝いた昨年のリーグ戦でも、砂を噛むような思いをピッチで爆発させていった。

 チャンピオンシップ第2戦で決めたヘディングシュートも、第1戦のワンシーンを生かした結果である。柏好文による決勝弾は、DFにブロックされた浅野のシュートのこぼれ球に反応したものだった。チームは敵地で勝利したが、「自分が決めたかった」という歯痒さが募った。

「試合で感じた悔しさは、ゼロにしちゃいけない。悔しさを次の試合にぶつけるというのは、広島でもやってきたことで。次またチャンスがきたら、もっとできるという気持ちはある。自分が持っているものをすべて試合にぶつけて、勝利につながるゴールを決めたい」

 イラクとの準決勝も後半から投入されたが、チャンスは巡ってこなかった。原川力の決勝弾のきっかけを作ったものの、彼らの身体にはストライカーの血が流れている。「チームが勝利したのは良かったですし、チームメイトの得点は、自分も取らなきゃいけないという気持ちにさせてくれる。ここまでゴールで貢献できていない自分には、やはり悔しさがあります」と、試合後にはこれまでと同じ言葉を口にした。

 イラク戦で左足太ももを痛めた鈴木武蔵は、28日の練習に参加できなかった。30日の決勝に出場するのは難しいだろう。また、所属クラブから合流要請を受けた南野拓実が、決勝戦をまえにチームを離れている。攻撃のカードが減っている状況を考えると、浅野の存在がこれまで以上にクローズアップされていく。

ドーハといえば、5年前の李のボレー。

 ドーハを舞台とした国際大会の決勝で思い出されるのは、2011年1月のアジアカップだ。オーストラリアとの壮絶なサバイバルに決着をつけたのは、途中出場した李忠成の左足ボレーだった。

 高校生だった浅野にも、鮮明な記憶である。

「見ているだけで鳥肌が立つような試合でしたね。シビれました。いまこうして自分にも、素晴らしい舞台に立てるチャンスが巡ってきている。あのときの僕と同じような思いを、決勝戦を見る人にも感じてもらえるように頑張りたい」

【次ページ】 浅野「いまは自分に期待しています」

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