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柔道男子100kg超級は横一線の争い。
七戸龍vs.原沢久喜、代表争いの鍵は?
posted2016/01/11 10:30
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Kyodo News
2016年が始まり、リオデジャネイロ五輪へ向けての日本代表選考が、多くの競技で本格化する。
柔道もその1つだ。昨年の大会の結果に引き続き、この冬の国際大会、そして4月初旬の全日本選抜体重別選手権が最終選考大会となる(男女ともに最も重い階級はその後の全日本選手権、全日本女子選手権まで)。中でも、注目を集めるのが男子最重量級の100kg超級である。
男子は全7階級のうち、代表がほぼ確定と言っていい階級が複数あり、他の階級も代表争いをリードする有力選手が存在する。ただ、100kg超級だけは、七戸龍と原沢久喜が、横一線で争う形となっているのだ。
七戸は2014、2015年の世界選手権に出場し、ともに2位となった。その成績が示すように、近年の実績ではリードしている立場だ。中学までは柔道と空手の双方で活躍していた異色の経歴を持つ七戸は、193cm、120kgの恵まれた体格からの大内刈を得意とする。現在27歳、時間をかけて地力をあげてきた。
一方、23歳の原沢は、世界選手権の経験はない。しかし昨年は全日本選手権を制し、国際大会では6大会連続優勝を飾り、勢いがある。191cm、122kgと七戸にひけをとらない体格とともに、スタミナに自信を持つ。立ち技の進化も著しい。
12月に原沢が勝利して以降、お互いに強く意識。
実績からすれば七戸が有力であったこの階級に混沌を生み出したのは、昨年12月のグランドスラム東京だ。2人は決勝で対戦し、原沢が七戸を破って優勝。井上康生監督もこう評価した。
「確実に結果を残し、直接対決で勝ったことは評価できます。現時点では並んだと言えます」
お互いに位置関係は理解しているから、昨年は相手への意識も強めてきた。
七戸が「結果を残しているのは自分だけじゃありませんから」と原沢を意識してコメントすれば、原沢はJRA社員であることから、「差し切る自信はあります」と勢いを言葉でも示した。
2人はともに代表選考の対象となる2月の欧州遠征メンバーに選ばれた。ここから4月まで競い合っていくことになる。