濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
大晦日に衝撃を残したRENA――。
“美女”が格闘技の新時代を告げる。
posted2016/01/07 10:30
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Susumu Nagao
12月29日と31日にさいたまスーパーアリーナで開催、フジテレビで放送された新格闘技イベント『RIZIN』には、それぞれの大会にテーマを示すサブタイトルがついていた。
青木真也vs.桜庭和志、復帰戦となる高阪剛とジェームス・トンプソンの一戦などが行なわれた29日は、歴史の区切りを意味する『SARABAの宴』。オープニング・セレモニーではPRIDEのテーマが流れる中で高田延彦統括本部長が太鼓を叩くという懐かしい演出もあった。
一方、31日の大会は『IZAの舞』と題された。目指すのは未来への扉を開くことだ。実際、この日の大会には曙vs.ボブ・サップというテレビ的カードもあったものの、MMA初挑戦、年末イベント初登場の選手も多かった。そういう選手がインパクトを残してこそ、RIZINの未来は切り拓かれる。
日本MMAの未来を示した新世代の選手たち。
主催者の、そしてファンの期待は、裏切られなかった。新生K-1の-55kgチャンピオンである武尊は、事前の宣言通りにヤン・ミンを2ラウンドKO。武尊はスピーディかつ華やかで、迫力ある闘いを見せた。MMA主体のイベントでK-1ルールの試合をしても、55kgという軽量級でも、まったくハンデにはならなかった。
大会ベストバウトの呼び声が高いのはクロン・グレイシーvs.山本アーセンだ。三角絞めで勝ったクロンはもちろん、MMA初戦で度胸抜群の打撃勝負を挑み、寝技を何度もしのいだアーセンのポテンシャルも相当なものだった。クロンはヒクソンの息子で、アーセンは山本美憂の息子にして山本“KID”徳郁の甥。まさに“新世代”の闘いだった。
ピーター・アーツを下した元大関・バルトは想像以上に動きがよかったし、シュートボクシングとK-1で世界の頂点を究めたアンディ・サワーのMMAデビュー戦も衝撃的だった(1ラウンドKO勝利)。対戦相手の長島☆自演乙☆雄一郎も立ち技の選手だから、試合は打撃戦になるかと思われたのだが、サワーは積極的に寝技で攻めていった。相手をしっかりと抑え込んで繰り出すパウンド、ヒザ蹴りの威力は相当なもの。その的確さにも目を見張った。
前UFC王者のジョゼ・アルドと積んできた練習の成果だろう、彼はスタンドの闘いと同じように相手を殴りつけていた。シュートボクシング関係者曰く「アンディは相手に強い攻撃、痛い攻撃を浴びせることに関しては天才的ですね」。