野球のぼせもんBACK NUMBER
馬原孝浩、最後の最後まで真面目に。
やるべきことを全てやった果てに。
text by
田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byTamon Matsuzono
posted2015/12/16 10:50
ソフトバンク時代、最後の大舞台となった2011年の日本シリーズにて。チームは日本一になったが、馬原は初戦から2試合連続で負け投手となった。
「だって僕はポジティブな人間ですから」
打たれることもある。だが、何の言い訳もしようがない状態に仕上げて勝負しているのだから、下を向く必要はない。いつも堂々としていた。気持ちの切り替えもすごく早く、寝てしまえば前の日のことはきれいに忘れていた。
「だって、僕は超がつくほどポジティブな人間ですから」
いつもそう言って笑っていたが、その裏付けは馬原自身が作っていた。そしてチームメイトからの信頼も本当に厚い右腕だった。
アイドルグループ「V6」の岡田准一を思わせるルックスもあったが、イケメンよりも“男前”という言葉が似合う投手だった。
34歳での引退は早すぎる。あまりに惜しい。
今後についてはまだ何も聞こえてこないが、趣味の釣りはかなりの腕前とのこと。若手時代に城島健司から教わった。まさか第2の人生は城島のように“釣り番組のMC”に……?
いや、馬原には出来るだけ早く、指導者として再びユニフォームを着てもらいたいと思うのだが、果たして。