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「慕われる監督」では行き詰まる!?
高橋由伸よ、絶対権力者を目指せ。

posted2015/12/12 10:50

 
「慕われる監督」では行き詰まる!?高橋由伸よ、絶対権力者を目指せ。<Number Web> photograph by Kyodo News

トークショーは和やかだったが、監督についての理想論は激しい火花を散らしていた。

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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 選手から慕われる監督になりたい。

 初めてチームを預かる新人監督のほぼ全員が目指すのは、自分が選手時代に描いた理想の監督像かもしれない。

 高圧的にチームを支配して強権で動かすのではなく、対話の中から選手の能力を引き出して勝利に導く。自分の力を十全に発揮させてくれて、たとえスランプになっても信頼して我慢してくれる。現役時代に願った監督像を求めるわけだ。

 選手という立場、使われる側からしたら、それが理想の指導者像であるのは間違いない。だからこそ初めて監督という逆の立場に立っても、ほぼ全員がこの理想を追い求めてスタートを切るわけである。

 このオフにはセ・リーグに3人の新監督が誕生した。巨人の高橋由伸監督、阪神の金本知憲監督にDeNAのアレックス・ラミレス監督だ。ともに40代と年齢も若く、何より監督業は初めての経験となる。

高橋監督が一番「慕われる」ことを目指している?

 特に巨人の高橋監督は専任コーチの経験もなければ、ネット裏から評論家として第三者の立場で監督修行をしたわけでもない。ユニフォームを脱いで、そのまま今度はチームの最高指導者となった。ここ最近では珍しいパターンで就任したこともあって、言葉の端々に選手との距離感の難しさがにじみ出ている。

 逆に言えば選手から慕われる監督、という理想像を一番、描いているのも高橋監督であるわけだ。

 ただ、そういう監督像にクギを刺したのが、中日、阪神、楽天で監督を務めて実績を残してきた楽天の星野仙一球団副会長だった。

 12月6日に行われた「東京六大学野球連盟結成90周年祝賀会」での出来事である。

 その中で行われたトークショーで慶大OBの巨人・高橋由伸監督とともに明大OBの星野副会長らが登壇。星野副会長は「40歳で若いというけれど、私は39で(中日監督就任を)命じられた。1年余分に経験している。現役からすぐに監督という形だし、去年まで仲間だった人間に命令口調でやるのは難しいかと思うが、まあ、しっかりやれ」とまずは高橋監督にエールを送った。

【次ページ】 選手を「殴る練習」をした星野流監督術。

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