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エディー・ジョーンズと
秘密のホワイトボード。
posted2015/12/10 12:15
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph by
Mutsumi Tabuchi
世界のラグビー史に残る偉業を成し遂げた指揮官が、ついに日本を離れた。
発売中のNumber891号「桜の未来~特集 日本ラグビー新世紀」にて、スポーツジャーナリストの生島淳氏が「離日直前インタビュー」として、ジャパンのオフィスにエディー・ジョーンズ氏を訪ねた。そこで目にした、ホワイトボードに書かれていた衝撃の内容とは……。
発売中のNumber891号「桜の未来~特集 日本ラグビー新世紀」にて、スポーツジャーナリストの生島淳氏が「離日直前インタビュー」として、ジャパンのオフィスにエディー・ジョーンズ氏を訪ねた。そこで目にした、ホワイトボードに書かれていた衝撃の内容とは……。
「元気だった?」
顔を合わせるなり、エディーさんは穏やかな表情で声をかけてくれた。
私がエディーさんと「ワン・オン・ワン」のインタビューをするのは、それがちょうど10回目だった。
2015年11月2日。東京・青山にあるジャパン・オフィス。4年間、エディーさんが知恵を絞って作戦を練り、「どうやったら勝てるのか?」を考え続けた場所だ。
ちょうどその2日前にW杯の決勝があり、ニュージーランドが2連覇を達成していた。
「オールブラックスだけ、違う次元でラグビーをしていましたね。でも、それは偶然ではありません。しっかりとしたプランの下で強化を進めた結果です。彼らの勝利は『必然』だった」
4年間、日本代表のことを考え続けた日々が終わり、エディーさんはびっくりするほど柔和な表情を浮かべていた。
「次の試合のことを考えなくていいですからね。でも、準決勝の前日、『どんな試合になるんだろう?』と考え出したら眠れなくなってしまって(笑)。その方が私は幸せ」
とことん、ラグビーのことを考えるのが好きな人だ。
南ア戦のイメージは約1年前にできていた。
ジャパン・オフィスのホワイトボードには、エディーさんが書いた文字が残っていた。
南アフリカ。
スコットランド。
サモア。
アメリカ。
W杯で対戦した国々だ。
各国の「強み」、「キープレーヤー」が書き出され、下段には「日本の鍵」と書いてある。「去年の11月くらいに書きました」
それがそのまま残っているという。つまり、2014年の時点で戦い方のイメージは具現化されていた。