ワインとシエスタとフットボールとBACK NUMBER
スタジアムで、あの時何があったのか?
パリのテロをスポーツ誌記者が語る。
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byAP/AFLO
posted2015/11/24 10:50
一度スタッド・ド・フランスの外に出ようとした観客たちは、正確な情報無しのまま、再びピッチ上へ集められることになった。
重要な国際会議や欧州CLの試合などが続くが……。
――不安も大きい……。
「そしてフランスは3つの大きなイベントを控えている。これから3週間のうちに、まず11月30日からCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)がパリで開催される。気候に関する世界規模の会議だ。つまり世界の主要国の首脳がすべてパリにやって来る。バラク・オバマや中国や日本の首相……イランの大統領まで出席する。世界中からVIPが集まるにもかかわらず、セキュリティは万全とはいえない。
それから12月上旬には統一地方選挙がある。投票は2回おこなわれ、たしか第1回が12月6日、第2回が13日だ。そのうえEURO2016の抽選会がある」
――私も取材する予定だ。
「12月12日におこなわれる。だから大きなイベントが控えているうえに、パリ・サンジェルマンの試合もある。パルクデプランスで、8日がPSG対シャクタル・ドネツクのチャンピオンズリーグ戦、13日の日曜がPSG対リヨンのリーグ戦だ」
――特にリヨン戦はビッグゲームだ。だからイスラム国は、フランスをテロの対象に選んだのか。フランスが標的にされた理由は何だったのだろうか……。
パリの同時多発テロの現場は、このような状況だった。その後も、フランス政府は大規模な戒厳令を敷き続けている。事態の詳細は分かった。では、このテロ事件の社会的な背景はどんなものなのか? さらに取材は続く……。