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0周リタイアでもアロンソは満足!?
メキシコGPで観客が起こした“奇跡”。 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images

posted2015/11/08 10:40

0周リタイアでもアロンソは満足!?メキシコGPで観客が起こした“奇跡”。<Number Web> photograph by Getty Images

決勝前、13万人を超える観客の前でドライバーズパレードに参加したアロンソ。

アロンソ「今シーズンで最高の観客だった」

 18番手からスタートしたアロンソは、問題を抱えたパワーユニットで1コーナーまでにマノー・マルシアの2台をオーバーテイク。その後もザウバー勢と激しいバトルを演じた。しかしその直後、異常を検知したパワーユニットはシステムをシャットダウンし、アロンソはパワーを失い、ピットへ向かいリタイアした。それでもアロンソは、自らの決断に満足していた。

「1周ももたずに息絶えたけど、それでも楽しかった。これで、ヨーロッパを離れて2週連続開催となったアメリカとメキシコはともに無得点に終わった。でも、メキシコの大観衆がそんな僕の心を癒し、勇気を与えてくれた。彼らは今シーズンで最高の観客だったと言っていいだろう」

表彰台位置、司会の人選で運営も観客を喜ばせた。

 初日、8万9365人。2日目、11万1964人。そして、最終日の日曜日には13万4800人の観衆が詰め掛けたメキシコGP。

 そんな観客を喜ばせようと、主催者側もさまざまな趣向を凝らした演出を行なった。そのひとつが表彰台の位置だ。通常のグランドスタンド側ではなく、より多くの観客席がある最終コーナー手前のスタジアムセクション側に設けたのである。

 グランドスタンドのチケットはどのサーキットでももっとも高価なので、主催者としてはその顧客を大切にするのは当然だろう。メキシコGPのグランドスタンドのチケットも、もっとも高いものは1万8000メキシコ・ペソ(12万円以上)もするので、表彰台がピットレーンの上に設置されても不思議ではなかった。

 さらにその表彰式の司会者として、主催者とFOMはナイジェル・マンセルを指名した。

 マンセルは23年前のメキシコGPの勝者であり、メキシコ人にとってヒーローのような存在。新しくなった最終コーナーには、その名前が冠された。

「ナイジェルはここで数々の素晴らしいレースを披露してきたし、メキシコGPの最後の勝者だから、多くのメキシコ人が彼の成し遂げたことすべてに感銘を受けているんだ」

 そう語るのは、今回復活したメキシコGPに45年ぶりにメキシコ人ドライバーとして参加したセルジオ・ペレスである。

 ペレスは地元で表彰台を狙い果敢に1ストップ作戦を敷いたが、レース後半に出されたセーフティーカーによって作戦は功を奏さず、8位に終わった。

 それでも、ペレスはこう語って、週末ずっと背中を押し続けてくれた地元のファンに感謝した。

「今週末のことは永遠に忘れないだろう」

 F1が忘れかけていたものを感じさせてくれたメキシコGP。23年ぶりの復活を祝福したい。

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