野球善哉BACK NUMBER
巨人・岡本和真と中村剛也の共通点。
スラッガーが変化球を打つ理由。
posted2015/09/29 10:40
text by
氏原英明Hideaki Ujihara
photograph by
NIKKAN SPORTS
現役のプロ野球選手で、変化球を打つのがもっとも上手い選手は誰か――。
筆者なら、迷わずに西武の中村剛也選手を挙げる。
今季37本塁打中(27日時点)、25本が変化球を打ったものだという数字を見れば、納得してもらえるのではないか。中村の高校時代の恩師である西谷浩一氏(大阪桐蔭監督)がこんな話をしていたものだ。
「(剛也は)中学生の時から変化球でホームランを狙って打っていたんです。試合を見に行って驚きました。中学生くらいなら普通はストレートを狙うと思うんですけどね、『上手いバッティングをする選手だな』という印象でした。高校の時も、ストレートを狙っているかのような空振りをわざとしてから、変化球を狙ってホームランを打つようなバッターでした」
これは、中村のスラッガーとしての資質といえるだろう。
スラッガーといえば、ストレートを豪快に力で打ち返していく姿をイメージしてしまうが、こと中村に関しては違う。変化球をいとも簡単に打つことができる。単純にパワーがあるというだけでは表現できないタイプのスラッガーなのである。
7月24日の日本ハム戦でエース・大谷翔平と対戦した際は、第2打席にスライダーを左翼スタンドに運んだかと思うと、第3打席では大谷の159キロのストレートを右翼スタンドに突き刺した。今季のホームランダービーでも、トップを走っている。
巨人のルーキー・岡本に感じた資質。
そんな中村を彷彿とさせているのが、9月5日のDeNA戦で左翼スタンドにプロ初アーチをかけた巨人の高卒ルーキー・岡本和真だ。その試合では、砂田が投じたスライダーにバットを合わせて放り込んだ。高卒1年目にして、プロの変化球をスタンドに放り込む技術力に、中村の姿を重ねた。
彼もまた、中村のような資質を持っている、と。