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吉田義男×掛布雅之×岡田彰布!!
歴史に残る初のレジェンド鼎談。
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph byYoshiyuki Hata
posted2015/09/09 14:00
あの優勝から30年――。「三人で話すのは初めて」というレジェンドたち。対談の冒頭、吉田元監督は「昔のことをこうして集まって話せるのは、幸せなことでっせ」と語った。
「監督、僕にバントのサイン出した時ありましたよ」
さて、ここからは雑誌では紙幅の都合上、掲載しきれなかった鼎談のくだりを特別に御紹介したい。
話は1985年猛虎打線の中軸――あの「バックスクリーン3連発」でも知られるバース、掛布、岡田のクリーンアップについて、当時の監督・吉田氏が回想しているところだ。
「3番、4番、5番が全員3割打って打点は100、ホームランも30~50本。ものすごい楽でしたな。ここ(クリーンアップ)に関しては作戦も何もないですもん。どうぞお好きにやってください、てなもんですわ(笑)」
さらに続けて吉田氏が「この3人にはバントなんか1回もさせたことない」と発言したところで、岡田氏が“物言い”をつけた。
岡田 監督、僕にバントのサイン出した時ありましたよ。
吉田 ほんまかいな!?
「カケが出たらバントやで」
岡田 後楽園の巨人戦で、相手投手が江川(卓)さんの時。0-0の7回表かなんかで、攻撃が4番のカケ(掛布)さんからやったんですよ。
吉田 それ、君がツーランホームラン打ちよった時か? あのゲームは大きかったでえ。
岡田 僕、その前の守備が終わってベンチに帰ってきた時に、監督から「カケが出たらバントやで」と言われてたんです。そしたらカケさんが出塁して、ホンマに三塁コーチからバントのサインが出たんですよ。
掛布 そんなことあったかなあ。監督、覚えてないんですか?
吉田 俺は1回もバントのサインは出してへん……。
岡田 いや、僕は絶対失敗したろと思って(笑)、1球だけ構えてファウルにしたら、ワンツーになった時にサインがエンドランに変わって、ツーランホームラン打ってしもたんですわ。
吉田 というのは、言い訳やないけど、後楽園球場というのはベンチと三塁との連携がものすごく難しかったんや。僕背が低いからね。頭の上の方でこうやって(腕をせわしなく動かす)エンドランのサインを出しとったのを、コーチが見間違えたんとちがうかあ。