サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
日本代表の連係が機能しない理由。
本田圭佑が語る、クラブとの“齟齬”。
text by
西川結城Yuki Nishikawa
photograph byTakuya Sugiyama
posted2015/09/05 10:50
重苦しい沈黙を左足のミドルシュートで破った本田圭佑。個人のスキルで今回は事なきを得たが、攻撃の形なくして代表の強化はありえない。
カウンタースタイルに慣れてしまっている?
本田が「サッカーをやっている人にしかわからない」といった感覚、つまり日本に戻ってきてすぐに細かいコンビプレーや連係を取り戻すことは、我々が想像している以上に難しいことのようだ。とはいえ本来そうした要素は、日本人が長所にすべきもの。また、Jリーグでは今もこれらの要素を核にしたチーム作りが行われているクラブも多い。
彼らが抱えるジレンマを、本田はこんなコメントにも滲ませていた。
「日本代表はミドルシュートを増やす必要がある? そうですね、それが昔からの日本の課題の一つであることは間違いないと思います。ただ、何でも新しいものを取り込めばいいということでもないので、サッカーというのは。新しいことに取り込むことで、前にできていたことができなくなるという恐れがサッカーにはある。
そのへんは日本の良い所、今いる選手の良い所を思う存分発揮しながら、ミドルシュートも取り込んでいく。攻撃の怖さがましていけたらいいと思います」
大胆な攻撃ばかりに意識が行けば、日本の良さである連係プレーの感覚が鈍り、雑になる。日本が格下相手に攻めあぐねる理由は、実は現在の日本サッカーの現状が関係しているところもあるのかもしれない。
コンビプレーのチームにいるのは香川ぐらい。
カンボジア戦の先発メンバーを見ていくと、岡崎が昨季所属したマインツ(ドイツ)、そして今季からプレーするレスター(イングランド)は縦に速いダイナミックな攻撃がベース。
香川がプレーするドルトムントは縦への意識とコンビプレーのバランスが取れているチームだが、連係プレーは長く練習を重ねることで熟成される部分が大きい。
本田はミランでバラバラな攻撃陣の中で苦労し、武藤が移籍したのも岡崎がいたマインツ。長谷部誠に関しては、今季はフランクフルトではボランチではなく主に右SBでプレーしている。