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身長の有利無しでWNBAレギュラー!
渡嘉敷来夢、バスケ五輪代表の夢。 

text by

宮地陽子

宮地陽子Yoko Miyaji

PROFILE

photograph byGetty Images

posted2015/08/24 12:15

身長の有利無しでWNBAレギュラー!渡嘉敷来夢、バスケ五輪代表の夢。<Number Web> photograph by Getty Images

キレのあるドライブを見せる渡嘉敷。身長ではなく、その類まれな運動能力、プレーセンスによってWNBAでは注目されることになった。

代表チームの組織的なプレーにすぐ適応できるか?

 2008年、当時WNBAフェニックス・マーキュリーでプレーしていた大神雄子が、WNBAのシーズン途中に抜けて、北京五輪のための世界最終予選大会直前に代表に合流したことがあった。この時、大神は代表チームのリズムとあわず、力を発揮しきれずに苦労していた。当時、渡嘉敷も近くで見ていて、大神が苦労していたことを覚えているという。

「(大神が)苦労しているというのは、自分も見て感じていたので、それはすごく大変だろうと、自分も思っています」と渡嘉敷は冷静に分析する。たとえば、オフェンスでの役割ひとつを取っても、WNBAではスクリーンをかけた後に外に出てのシュート(ポップ)が主体だったが、代表では中に切れ込む動き(ダイブ)が求められる。

「ストームではポップ、ポップだけど、日本代表ではダイブ、ダイブ。その違いを早く切り替えないとだめだと思う」

 日本代表の内海知秀ヘッドコーチは「渡嘉敷が戻ってきてから本番が始まるまでの練習回数は7、8回。その中で、今までやっている全日本の組織的な部分というのを、彼女に要求はしていきたい。彼女は非常にバスケットのIQが高いと思っているので、そういう意味では、すぐ順応できるとは感じています」と、信頼を寄せる。

日本代表とWNBAと……過酷な日々が続く。

 実際に、渡嘉敷がどれだけ早くチームに適応できるのかは、日本代表の大会での成功の大きな鍵となる。アメリカで環境の変化に適応して戦ってきた渡嘉敷にとっては、これもチャレンジの一環だ。しかも、アジア選手権の後には、再びストームに合流する予定なのだ。忙しく、過酷な3週間が待ち構えている。

「日本代表になったら自分がやらなきゃいけない。パスもらったら自分が積極的に攻めることによって日本代表にとってプラスになると思う。そういった攻め方を、再びWNBAに帰ってきたときに出せたらと思う。WNBAでやってきたことをアジア選手権で出して、アジア選手権でやったことをまたWNBAに戻って出せるようにしたい」

 WNBAでの経験を日本代表で生かし、日本代表での経験をWNBAに持ち帰りたい──。24歳の渡嘉敷は、貪欲に世界に挑み続ける。

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