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身長の有利無しでWNBAレギュラー!
渡嘉敷来夢、バスケ五輪代表の夢。
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byGetty Images
posted2015/08/24 12:15
キレのあるドライブを見せる渡嘉敷。身長ではなく、その類まれな運動能力、プレーセンスによってWNBAでは注目されることになった。
徐々に実力を認められ、今では正式スターターに!
開幕8試合目(対サンアントニオ・スターズ)にして、渡嘉敷は初めてスターターに抜擢され、その試合で初めて2桁得点の14点をあげた。次のタルサ・ショック戦では、控えに戻ったものの、自己最多の21得点をあげた。少しずつコーチやチームメイトに認められるようになり、開幕から1カ半ほどたった7月15日のロサンゼルス・スパークス戦からは正式にスターターに昇格している。8月23日現在、27試合に出場、1試合平均20.1分の出場時間で、8.3点、3.0リバウンド、0.9ブロックを記録している。
ストームのヘッドコーチ、ジェニー・ブーサックは渡嘉敷を次のように評価する。
「彼女はすばらしいアスリートで、いいスキルを持っています。競争心も強く、常に成長しています。成長するための努力もしていて、このリーグで、世界でトップクラスの選手たちと対戦しながら新しいことを身につけています」
チームのベテラン・ポイントガードで、アメリカ代表選手でもあるスー・バードは、渡嘉敷がストームに来るまで、彼女の存在を知らなかったという。それだけに、渡嘉敷のストームでの活躍を、「嬉しい驚きだった」と歓迎する。「シーズンが始まった頃は少し躊躇しているようだったけれど、今は自分のプレーを見せるようになった。シュートもうまいし、すばらしいゲーム感覚も持っていて、そして何よりもあの運動能力、スピード、すばやくジャンプする能力。すばらしい才能を持っている」と称賛する。
高さではなく、シュートや1対1のスキルで戦うこと。
バードも言うように、WNBAにおいても、渡嘉敷の運動能力は武器になる。渡嘉敷自身、攻撃では速攻で走ることを常に意識しているほか、ハーフコートの攻撃では主にストレッチ・フォーとして外からのシュートを狙い、相手ディフェンスが寄ってくるとドライブインでインサイドに攻め込む。
「そうやって外から打てるのも新しい自分で、楽しいです」と渡嘉敷は笑顔を見せる。
高さで戦うのではなく、シュートや1対1のスキル、そして駆け引きを使っての勝負で世界のトッププレイヤーたちと競うことができて、楽しくてしかたないのだ。
試合を重ねるにつれて、相手チームから得意なプレーや苦手なプレーを研究されるようにもなったが、それは、裏を返せば相手からの敬意の表れでもある。研究された中で生き延びるためには自分も現状に留まることなく、さらに成長する必要がある。渡嘉敷も左からのドライブインや、1対1でのディフェンスとの駆け引きなどを徹底的に練習しているという。できて当たり前ではないからこその面白味だ。