松山英樹、勝負を決める108mmBACK NUMBER
優勝したデイの流儀に「へえ~!」。
松山英樹、全米プロ37位の反省点。
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph bySonoko Funakoshi
posted2015/08/17 16:30
今大会の明暗を分けたフェアウェイバンカーからのショット。松山英樹にとってメジャーは既に、出場や予選突破で満足できる大会ではなくなっている。
デイのエピソードに「へえ~!」と反応した松山。
デイとスピースの優勝争いが終盤へ差し掛かろうとしていたころ、松山は人影まばらな選手用の駐車場へ向かい、ウィスリングストレイツから去ろうとしていた。
とぼとぼ歩いていた松山に「お疲れ様」と声を掛けた。
「お疲れっした~!」
その答え方は、もういつもの彼に近いところまで戻りつつあった。
「さっきの『心当たり』は、スケジュール? スイング?」
やっぱり答えが知りたくて、再度そうやって尋ねてみた。すると彼はぼそっと、「やっぱりメンタル面っすかねえ?」
そう感じているのなら、デイが言っていたことが松山の参考になるのではないか。そう思って、こんなことを彼に話した。
「ジェイソンは今週、ゴルフの記事も読まず、テレビでゴルフの中継もニュースも見ず、ラウンド中はリーダーボードもあまり見ないようにしているんだって。それがメンタル的にうまく作用しているんだって」
「へえ~!」
「あら、へえ~って思うんだったら、採り入れてみようかなとも思うのかしら?」
「うーん、でも、やっぱり見ちゃうんで……」
そうかもしれない。デイもこの4、5年「あと何打」、「あと何ホールで何打差」なんて計算をリーダーボードをちらちら見ながらメジャー20試合でやり続け、その結果負け続けてきた。そして21試合目の今大会で、とうとう辿り着いたのが、彼なりのメンタルコントロール術。それが「とうとう報われた」結果、デイのメジャー初優勝がようやく達成された。
松山にも、もう少し時間が必要なのだと思う。手に汗握る優勝争いと、悔し涙が溢れるほどのビターテイストの惜敗。それらを幾度か繰り返した先に、松山なりの勝ち方がきっといつしか見えてくる。