プロレスのじかんBACK NUMBER
中邑真輔の戦いが限界を超えている!!
G1クライマックス、レスラー達の矜持。
text by
井上崇宏Takahiro Inoue
photograph byEssei Hara
posted2015/08/10 14:30
復帰直後のG1で、IWGPインターコンチネンタル王者の後藤洋央紀を破った中邑。5月に奪われたベルトのリベンジだけでなく、IWGP王者への挑戦権も見えてきた。
点滴と血液検査で左腕が穴だらけになった中邑。
あわててトレーナーに連絡を入れた中邑は、翌日の興行が行なわれる広島の病院に救急で飛び込んだ。この痛みの激しさからして、最初は骨折かと思ったが、血液検査をしてみると白血球の数値が異常であることがわかった。例のすり傷から細菌感染していたのが原因だった。
広島大会は無念の欠場。次戦の大分、福岡大会には出場すべく博多入りはしていたが、状況はよくならず、やはり両大会とも欠場。毎日、じっと点滴と血液検査をして、左腕に針の穴をあけまくった。
大阪入りをしてからは点滴の回数をさらに増やし、試合当日の血液検査で、白血球の数値は正常に戻ったことがわかる。
「とりあえず、いけるだろう」
そしてCHAOSの盟友・石井智宏戦から、なんとか戦列に復帰した。しかし、それ以降も点滴と飲み薬は欠かせない。左肘に痛みとしこりはまだある。消化に体力を奪われないように、厳しい食事制限をしながら巡業をまわっている。
試合中も「カラータイマーが鳴りっぱなし」だった中邑。
8月8日、横浜大会の試合前、バックステージで中邑の姿が見えたので、数分だけ話を聞くことができた。
「骨とか靭帯だったら角度(の固定)でどうにかなったんですけど、そうじゃなかったから。でも、あらゆる手を尽くした結果、劇的に回復してくれてよかった。6日間ずっと動くことができなかったから、身体が軽くなったぶん(復帰後の)動きに関しては問題はなかった。でも、やっぱり心肺機能(の低下)は非常に厳しかったです。石井戦、後藤(洋央紀)戦……本当に自分でも『これ、追い込まれてんな』ってぐらいの集中力が出ましたね。身体のカラータイマーが鳴りっぱなし、だからこの集中力が出てるなっていうのは感じました。きのう(7日)の(高橋)裕二郎戦ぐらいからちょっとだけ余裕が出てきた。体力が戻ってきてる」