オリンピックへの道BACK NUMBER
“シンクロの日本”が帰ってきた!
井村コーチ復帰で一気にメダル4個。
posted2015/08/03 11:55
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Yohei Osada/AFLO SPORT
やはり、その手腕はたしかだった。
7月24日に開幕したモスクワ・カザンでの世界水泳選手権のうち、シンクロナイズドスイミングが終わった。
日本は全7種目のうち、4種目で銅メダルを獲得した。
世界水泳では8年ぶり、オリンピックと合わせても7年ぶりのメダルである。その事実から、今大会で一気に巻き返しに成功したことが分かる。
その紛れも無い立役者は、昨年から日本代表の指導を再開した井村雅代氏である。
2004年のアテネ五輪まで日本代表選手たちを指導し続け、日本を世界のシンクロ界の強豪国に育てあげ、胸を張って「お家芸」と言えるほどのメダルを多数日本にもたらした。その後は中国の指導にあたり、北京五輪のチームで銅メダル、ロンドン五輪ではデュエットで銅、チームでは銀メダルを得ている。
昨年、日本代表のコーチに復帰。メダルはおろかオリンピック出場権も危ういのでは――という日本シンクロ界全体の危機感から依頼を受けてのものだった。
指導者としての力量は実績が物語っている。ただ、日本代表の指導を再開してからこの大会までの準備時間がしっかりあったかと言われれば……決してそうとは言えない。厳しい条件ばかりが揃う中で、日本シンクロ界をどこまで立て直せるのかが今回の世界水泳選手権の焦点だった。
井村以前と以後……ハッキリ違っていた演技構成。
大会が始まってみると、それは杞憂だった。
7月26日、乾友紀子、三井梨紗子組がデュエット・テクニカルルーティンで銅メダルを手にしたのを皮切りに、チームのテクニカルルーティンとフリールーティン、最終種目のチームのフリーコンビネーションでも3位となったのだ。
種目を問わず、シンクロの日本代表選手たちは、明らかに近年とは異なる演技を見せるようになっていた。