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名牝の子孫たちが集結した安田記念。
種牡馬を宿命づけられた馬が勝つ?
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2015/06/06 08:00
安田記念では5枠10番に入ったフィエロ。ジャスタウェイが引退し混戦のマイル戦線で、6歳にして悲願のGIタイトル獲得なるか。
名スプリンター、フラワーパークの息子が……。
4連勝で2走前の東京新聞杯を制し、前走の京王杯スプリングカップで2着となったヴァンセンヌ(牡6歳、父ディープインパクト、栗東・松永幹夫厩舎)も、遅咲きの良血馬だ。
母フラワーパークは、1996年に高松宮杯とスプリンターズステークスを制し最優秀短距離馬となった名スプリンターで、これも晩成型だった。
京王杯は、スローで前残りのレースとなったが、この馬だけは15番手から上がり3ハロン32秒7という凄まじい脚で追い込んで2着に来た。母より距離に融通が利きそうなだけに、ダービーのドゥラメンテ同様、母仔GI制覇をやってのけても不思議ではない。
メジロモントレーを祖母に持つモーリスが勢いでは一番か。
前走のダービー卿チャレンジトロフィーで、上がり3ハロン33秒0の末脚を使い、2着を3馬身半突き放したモーリス(牡4歳、父スクリーンヒーロー、美浦・堀宣行厩舎)の母系からも底力を感じさせられる。
母メジロフランシスは未勝利だったが、祖母メジロモントレーは、'89年クイーンステークスのほか、牡馬相手の'90年金杯、アルゼンチン共和国杯、'91年アメリカジョッキークラブカップと重賞を4勝した女傑だった。
その母系にスクリーンヒーローをつけて生まれたモーリスは、イメージとしてはもう少し長いところのほうがよさそうだが、1600mと1800mで3連勝中と勢いがある。1番人気に支持されるのはこの馬かもしれない。
スティンガー、ファビラスラフインの名前も。
ほかでは、エキストラエンド(牡6歳、父ディープインパクト、栗東・角居勝彦厩舎)の母カーリングは仏オークス、ヴェルメイユ賞などを勝った名牝だし、サトノギャラント(牡6歳、父シンボリクリスエス、美浦・藤沢和雄厩舎)の母スティンガーは'98年の2歳女王だ。
また、ブレイズアトレイル(牡6歳、父ダイワメジャー、栗東・藤岡健一厩舎)の祖母ファビラスラフインは秋華賞を勝ち、ジャパンカップでシングスピールの鼻差の2着となった女傑である。
母や祖母たちが競走するわけではないとわかっていても、こうしてかつての姿を思い出すのは楽しい。