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<惜別の辞>
さようなら、阿部珠樹さん。 

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photograph byTakayuki Fuchi

posted2015/05/09 10:00

<惜別の辞> さようなら、阿部珠樹さん。<Number Web> photograph by Takayuki Fuchi

2009年のWBCで日本が優勝を決めた直後の笑顔。キャップはお気に入りだったメキシコ代表のもの。

27年にわたり小誌に執筆していただいた
阿部珠樹さんが急逝されました。
ご冥福をお祈りします。

 いやあ、今日もいいもの見せてもらったなあ――そう言って、シャイな表情で微笑む“アベさん”の姿は、もうスタジアムでは見られなくなってしまいました。

 小誌でコラム「スポーツ惜別録」を連載中のスポーツライター阿部珠樹さんが4月22日深夜、逝去されました。57歳でした。

 阿部さんの身体に異変が見つかったのは、先日の小誌創刊35周年記念号=874号に「井原正巳&宮本恒靖 日本のキャプテンシーとは」と、後藤浩輝騎手の「惜別録」をご寄稿いただいた直後のことでした。

 3月中旬にマツダスタジアムで取材中、腹部に強烈な痛みを感じ、そのまま入院。検査の結果、癌が見つかりました。すでに外科手術はできない状態でした。それでも阿部さんは執筆の意欲を失いませんでした。

 故郷の函館で化学療法や放射線治療によって、癌と向き合いながら原稿を書き続けたいと、連載コラムも今号から再開予定でした。しかし、自覚症状が出てからわずか1カ月で、この世から旅立たれました。

27年間で約900本、端正な文体に込められたストーリー。

 阿部さんと小誌の関係は、1988年5月20日発売の196号に「競馬新聞 早出しダービーの裏側をのぞく!!」という記事をご寄稿いただいたのが始まりでした。

 その後の27年間で「頂上(いただき)の記憶」「ゲームの分け前。」「観客席から」などの連載記事、さらには競馬、野球を中心にあらゆるスポーツの特集記事を、合わせて実に900本近く執筆していただきました。

 現場で試合を観ることが、誰よりも好きでした。優しく繊細な眼差しと端正な文体で、そこに立ち上がる独自のストーリーを描くことが、真骨頂でした。

 小誌の黄金時代をともに創ってくださった“ミスター・ナンバー”――阿部珠樹さんのご冥福をお祈りいたします。

ナンバー編集長 松井一晃

阿部珠樹

1957年、北海道生まれ。大学卒業後、出版社勤務を経て'87年からフリーに。競馬、プロ野球、MLB、相撲、ボクシングなど様々なスポーツについて雑誌を中心に執筆を続けた。『頂上の記憶― 一瞬の栄光を生きたスポーツヒーローたち』(文藝春秋)ほか著書多数。

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