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「彼は、本当に偉大な打者だった」
巨人軍トップが語る理想の四番とは?
posted2015/04/10 16:30
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph by
Tadashi Shirasawa
核心を突いたフレーズだった。
「単に儲かればいいというものではないんです」
プロ野球開幕を間近に控えた春の日。東京・大手町の中心部に屹立する高さ200mの読売新聞本社ビル、その26階フロア――株式会社読売巨人軍のオフィスで、Number875号のインタビューに応じた久保博球団社長(65)が真剣なまなざしをこちらに向けている。
「エンターテイメントビジネスというのは、人気や収益が緩やかに下がっていくことはない。落ちる時は大体、一気にドーンと落ちますから」
プロ野球人気の凋落が叫ばれる時代、巨人トップは何を語ったか。
取材のテーマはスポーツ経営論。久保氏によると、テレビ中継数の激減、視聴率の低下をもってプロ野球人気の凋落が叫ばれるこの時代に、巨人軍の営業収入は毎年250億円前後、純利益に換算すると14億円前後で安定的に推移しているという。だが――。
「確かに巨人軍には、スポンサー収入やテレビの放映権料、グッズ販売など、野球に関連するライツビジネスがたくさんあります。ただ、そういったビジネスを優先させて日曜日のデイゲームをやらなかったり、地方球場での試合開催を減らしたりしてきた結果、新たな若いファン層の開拓がおろそかになっていた面があります。やはり経営の基礎となるのは、魅力あるチームを作り、お客さんにチケットを買ってもらって球場を満員にすることなのですが」
昨年6月に巨人軍社長に就任した久保氏は、読売新聞社のスポーツ事業部長時代に「箱根駅伝」を取り仕切るなど、アマチュアスポーツの興行にも通じる人物である。学生時代からラグビーを愛し、海外の本場を観戦に訪れることもしばしば。そんな彼にとって、「魅力あるチーム」は肌で感じることのできるものだ。