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細かなパス回しか、縦への速さか?
ハリルJ初陣で見えた、日本の葛藤。 

text by

松本宣昭

松本宣昭Yoshiaki Matsumoto

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2015/03/28 12:00

細かなパス回しか、縦への速さか?ハリルJ初陣で見えた、日本の葛藤。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

試合後にはハリルホジッチ監督が「ゲームを変えられる能力を証明してくれた」と本田を称賛。本田は「途中から出た選手が結果を残している」とコメントした。

常連組が意地を見せ、新戦力が奮起すれば……。

「無理に上がらなくていい。今日は勝つんだ」

 これは、84分に投入された内田への指示だ。

 内田だけでなく、83分に2点目を決めてからは、チーム全体として無理に攻め急ぐことはせず、じっくりとパスを回して時計の針を進める。こうして、タイムアップの笛を聞いた。試合後、内田はこう話していた。

「2-0でリードしている状況で、試合を終わらせるプレーが必要だということは、高校生でもわかる。でも、それをレベルの高い相手にもできるかどうかが重要なんだよね」

 日本代表に、世代交代は必要だ。新しい力が出てこない限り、未来はないから。

 ただし、本田や岡崎や香川、内田や吉田が代表に生き残っているのは、監督が自分たちに何を求め、試合に勝つためには何が必要かを理解し、所属クラブで進化し続けようとしてきたからだ。それならば、チュニジア戦の前半に出場した選手たちは、そこから長所を盗み、彼らを超えていけばいい。

「次のウズベキスタン戦では、また新しい選手をプレーさせるつもりだが、それでも勝利を求めたい。ほぼ全員がチャンスをつかめると思うが、誰が2試合目でプレーするかは決めていない。それでも今日プレーしなかった、ほとんどの選手に出番があるだろう。リスクはあるが、いろんなプレーヤーの情報がほしい。この考え方を続けて、モチベーションをキープしながら、さらなる野心と勇気を持てば、新しい日本代表が生まれるだろう」

 新戦力が奮起し、常連組が意地を見せる。そんな競争が生まれれば、きっと日本は強くなる。チュニジア戦後にハリルホジッチ監督が語った言葉が、“正直者”の本音であることを願って。

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