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211日ぶり復帰の山口蛍が語る、
C大阪が失った自信を取り戻す兆し。
posted2015/03/09 12:20
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph by
Jun Tsukida/AFLO
セレッソ大阪のJ2開幕戦となる東京ヴェルディ戦は、1-1のドローに終わった。
パウロ・アウトゥオリ新監督を迎え、1年でのJ1復帰を目指すセレッソにとって最高のスタートとはいかなかったが、昨年不調だったフォルランがゴールを決めるなど光明もあった。とりわけ大きかったのは昨年、右膝外側半月板損傷で長期離脱していたキャプテンの山口蛍が211日ぶりに公式戦のピッチに戻ってきたことだ。90分フル出場を果たした山口は、試合後安堵した表情を見せた。
「やる前は不安がありました。これまで練習試合では90分やれたけど、公式戦はやっぱり違うし、出てすぐにケガすんのは嫌やなぁと思っていたんで。とりあえず90分間やれたし、心配してくれたみんなにピッチに立った姿を見せることが出来たのは良かった」
JISSでのリハビリ中に得た、大きな刺激とは?
山口は昨年8月のFC東京戦で負傷。9月26日に都内で手術、全治3カ月と診断された。手術後、2カ月ほどJISS(国立スポーツ科学センター)でリハビリを行なった。JISSは長谷部誠や内田篤人らサッカー選手はもちろん、さまざまな分野のアスリートたちがリハビリで利用している施設だ。そこで山口は、大きな刺激を受けたという。
「行って良かったなと思いましたね。毎日、朝から晩までリハビリに集中できる環境やったし、専門の人に治してもらったんでここまで回復できた。いろんな競技の人と触れ合うこともできたし、自分以上に大きなケガをした人もたくさんおって、そういう人たちの話を聞けた。すごくいい経験になったし、メンタル的にも強くなった」
その後大阪に戻ってリハビリを続けたが、キャプテン不在のチームは浮上のキッカケを掴めぬまま、J2に降格した。
「最初からチームにいないならともかく、チームが厳しい中、一番必要とされている時にプレーできなかったし、チームのためになれなかった。みんなに申し訳なかったし、悔しい気持ちでいっぱいだった」
J2降格で大きく揺らいだクラブは強化方針と新監督がなかなか決まらず、山口も生え抜きとして危機感を募らせる。ブラジルW杯以降、模索していた海外移籍はケガのために機会を逸することとなった。今後のサッカー人生について考えた末、山口は気持ちを切り替えてJ1昇格のためにセレッソで戦うことを決断した。