セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
本田圭佑がファンにギリギリの苦言。
苛烈なブーイングより愛情の叱咤を。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2015/02/16 12:15
厳しい表情でスタンドに視線を送る本田圭佑。本田が感情を露にして話すことは決して多くない。ミランを取り巻く環境がそれほど厳しい、ということだろうか。
「イタリア語が流暢じゃないんでね」
なおもミックスゾーンで言葉に力を込める本田の背後を、ディエゴ・ロペスが、主将モントリーボが次々に通り過ぎた。同僚たちの顔は、一様に暗かった。
ロッカールームにも団結する空気を感じるか、と問われた本田は「イタリア語が流暢じゃないんでね」と煙に巻いた後、一気に続けた。
「日本語を相手に理解してもらえるのなら、まずチームメイト全員座らせて会話しますよ。『どう思ってんだ?』って」
その言葉は、日本語の通じる目の前の報道陣ではなく、下を向いているチームメイトたちに向けられていたように感じられた。
本田はそこまで語ると、くるりと踵を返しミックスゾーンを後にした。今日の苦い結果と胸中のもどかしさに決別するように。
サポーター批判ギリギリのところで、“もっとチームを支えてほしい”と訴えた本田の目は熱かった。凍りついたミラニスタたちの心を、次のチェゼーナ戦で溶かすことはできるだろうか。