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今年は優勝争い間違いなしの広島。
2016年問題に備えて若手育成を!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNanae Suzuki
posted2015/02/02 10:30
前田健太&黒田博樹のダブルエースで更なる躍進が期待される広島だが、前田は米行きの公算が大きく、メジャー5年連続2桁勝利の黒田も40歳目前。チーム状態が良い今こそ未来の戦力を考えるべき時だ。
将来を託すに足る有力な若手は育っている。
外国人の一軍登録が野手3人になれば、ドラフト1位・野間峻祥(中部学院大・外野手)の起用にも影響を及ぼす。外野手2人はグスマン、ロサリオになる可能性が高く、そうなると残る1枠は昨年のベストナイン、丸佳浩が君臨しているので野間の出番はない。つまり豊富な資金力を背景にした積極的な補強が余剰戦力を生み出してしまった、ということになる。これは広島の持ち味ではない。
前田の残留、黒田の復帰、有力外国人の入団、新井貴浩の復帰と、前景気を煽っている広島だが、本当に重要なのは若手、中堅の底上げである。幸い広島には将来を託せる有力な若手、中堅が揃っている。
投手は前で紹介した大瀬良、九里、今村が同年齢の24歳で競い合い、一岡(早生まれの24歳)、中田(25歳)、野村(26歳)など有望株も近い世代にひしめき、戸田(22歳)、中崎(23歳)の若手は助走期間を終えて一軍での活躍を待っている。
野手は新人の野間(外野手・早生まれの22歳)、堂林(一塁、外野手・24歳)、菊池涼介(二塁手・25歳)、田中広輔(三塁、遊撃手・26歳)、丸(外野手・26歳)と有力な選手が若手・中堅の世代に多く、鈴木誠也(三塁、遊撃、外野手・21歳)、高橋大樹(外野手・21歳)などもファームで実績を積んでいる。
金本「いつもひそかに気にかけてますよ」
ここに挙げた若手をいかに鍛えて次代の主力に育て上げるかが、現在の広島に突きつけられたテーマである。私たちマスコミはどうしても派手な話題を取り上げがちで、黒田、前田に菊丸コンビで記事を作ろうとするが、フロントまで浮かれていたら足をすくわれる。
最初に紹介した中国新聞の連載コラムには金本知憲(広島→阪神)の提言も掲載されているので紹介しよう。
「何年か後に、優勝争いするチームは必ずできると思う。古き良き時代の厳しさ、いい意味でのアマチュアリズムが残っていればの話だけどね。(中略)昨季、ヤクルトがほぼ自前の選手だけで優勝争いをしたんだから、カープにもできないはずがない。いつもひそかに気にかけてますよ」