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今年は優勝争い間違いなしの広島。
2016年問題に備えて若手育成を!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNanae Suzuki
posted2015/02/02 10:30
前田健太&黒田博樹のダブルエースで更なる躍進が期待される広島だが、前田は米行きの公算が大きく、メジャー5年連続2桁勝利の黒田も40歳目前。チーム状態が良い今こそ未来の戦力を考えるべき時だ。
2016年問題に、今から手をつける必要がある。
2人以外で主戦投手と言えるのは、大瀬良大地と野村祐輔の新人王コンビ以外を除けば先発組は九里亜蓮、戸田隆矢の2人だけ。リリーフ組まで見渡しても今村猛、中田廉、中崎翔太、一岡竜司という名前が出てくる程度である。'16年以降の戦い方が難しくなると考えるのは当然と言える。
今から数年先の話をするのは滑稽かもしれないが、広島にとって本当に重要なのは来年以降の戦い方である。前田、黒田の両エースと総勢6人の外国人で今季何とか優勝し、その余熱で2~3年を凌いで、その間に若手を育成・抜擢して黄金時代の地盤を作る、そういうプランが今からほしい。
粒ぞろいの外国人枠は野手3、投手1か?
今季の話をしよう。メジャーの強打者を翻弄した黒田の持ち味は、小さく動く変化球である。その代表的な球種がツーシームで、スライダーもスプリットも大げさな変化はせず、打者の近くで小さくスライドし、あるいは小さく落ちる。そういう実戦的な球種を操ってゴロの山を築くというのが最大の持ち味である。つまり、その持ち味を生かすも殺すも内野の守り次第なわけだが、一、三塁が固定できていない。
一塁には昨年のホームラン王、エルドレッドが就くのか、球団史上最高の年俸1億円で契約したグスマンが就くのか、三塁はスター候補生の堂林翔太(守備率.955)が就くのか、堅実な職人肌の梵英心(守備率.991)が就くのか、その顔ぶれ次第では黒田の成績も変わってくる可能性がある。そもそも外国人は有力選手が多く、一軍登録4人を誰にするのか決めかねている状態だ。
◇野手→エルドレッド(昨年のホームラン王)、グスマン(年俸1億円の強打者)、ロサリオ(昨年69試合ながら80安打放って打率.336)
◇投手→ヒース(昨年8月にデビューして3勝0敗の本格派右腕)、ジョンソン(最速153kmの左腕)、ザガースキー(32歳の左腕)
外国人の一軍登録は「投手2人、野手2人」が多いが、「野手3人、投手1人」「野手1人、投手3人」でもいい。ザガースキーの力が未知数なので今季は野手3人、投手1人で行きそうだが、一塁エルドレッド、左翼グスマン、中堅ロサリオになれば、エルドレッドの一塁守備に不安が残る。
[註]エルドレッドの昨年の守備率は.995といいが、送球で走者をアウトにする補殺数が少ない。これは守備のスタイルが攻撃的でないことを示している。