サムライブルーの原材料BACK NUMBER
座右の銘は「自信と過信は紙一重」。
太田宏介が三浦淳寛にもらった言葉。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2014/10/28 10:40
今季J1では全30試合にフル出場。ポジションを争う長友佑都がインテルで出場機会を減らす今は、太田にとって代表定着へアピールするチャンスだ。
太田-小林のホットラインはブラジル相手にも機能した。
10日のジャマイカ戦の後半途中、先に小林が交代出場して代表デビューを果たし、そして残り時間わずかのタイミングで太田もピッチに入った。
見せ場はすぐさま訪れている。太田の左足のクロスに、ヘディングで合わせたのが小林だった。惜しくもゴールマウスを外れたが、あうんの呼吸がもたらしたシュートシーンであった。
「中をパッと見たときに2、3人ゴール前にいたので、悠というかそのあたりに蹴ろうという発想でした。でも『宏介ならこう上げてくるだろう』って、悠のほうが感じ取ってくれたのかな、と。あれが決まっていたら、もう最高でしたけれどね」
次のブラジル戦には、2人そろって先発。最初のチャンスは、太田-小林のホットラインが生み出したもの。前半24分、左サイドをオーバーラップした太田はニアに向かう岡崎に速くて鋭いクロスを送り、相手のクリアがこぼれたところに逆サイドにいた小林が左足ボレーで合わせている。
「(本田)圭佑くんにゴールキーパーとディフェンダーの間や、ラインが下がったときのスペース(ディフェンスの前)をずっと狙っておいてくれと言われていて、岡ちゃん(岡崎慎司)や悠とも、そういう話をしていました。だから狙いどおりというか、実際あのクロスのとき、ブラジルのディフェンダーは動けていなかった。チャンスになりそうにもないクロスに見えるかもしれないけど、ああいうのが一番チャンスになると思っていました」
「試合で合わせてくれるのは、代表ならでは」
前半22分にはアーリークロス、後半終了間際には速いクロスから柿谷曜一朗のヘディングシュートを引き出している。結果的に0-4で大敗に終わったものの、チャンスに絡めたことには手応えも覚えていた。
「練習ではなかなか(クロスを)合わせる機会がなかったけれど、こうやって試合のなかで合わせてくれるっていうのは、代表ならではなのかなって感じました。チャンスに自分がかかわれたというのは自信を持ってもいいのかなと思っています」
あらためて小林に刺激を受け、チームメイトにも刺激を受けた。日本代表との新たな邂逅が、彼をさらなる高みに導こうとしている。