女三代フルマラソンに挑むBACK NUMBER
大阪マラソンの成功祈願はお墓参り。
ほのぼのランのはずが、あわや遭難!?
text by
中島彩Aya Nakajima
photograph byAya Nakajima
posted2014/10/17 10:50
お墓参りまでの道のりに自信満々だった2人だが……。走りながらの道案内は簡単ではない、ということか。
「近所の人に見られたないねん」と仮装で登場。
祖母は昔から、何か大きな行事があると「お墓参りをして、成功をお願いする」という、これまた「おばあちゃんっぽい」考えがあります。さらに、祖母の家からお墓のある霊園までちょうど12km弱!
すこし坂があるけれど、もしかして紅葉も楽しめるかも、と期待も膨らみ、いざ三世代はご先祖様が眠られる「お墓」へ、走って向かうことになりました。
当日。待ち合わせの場所に、祖母はなぜかサングラスとマスクをつけて登場しました。
「近所の人に見られたないねん」とひと言。明るい色のウエアを、何十年も知り合いの近所の人には見られたくないとのこと。さらに、祖父の意見で「変装」を実行したそうです。
もうバレているのでは……と思いながらも、そこは触れずにおくことに。ともあれ怪しい格好でストレッチをし、準備は万端。
祖母「何百回も行ってるから、道はまかして!」
私は、新しいコースを走るときは、基本的にGPSを使います。そこでスタート前に、スマホで霊園への最短ルートのナビを設定しようとしていると、祖母が急に走り出しました!
待って、と止めると「国道163号やろ?」と後ろを振り向きながら言いました。
なんと、正解。合っています!
「お墓は何百回も車でも、歩いてでも行ってるから、道はまかして! そんなん(スマホ)より正しいわ!」と言うのです。
確かに、私はしばらく東京で生活していて、大阪の地理は忘れつつあるという不安がありました。それに加え、祖母の“何百回も行った”という言葉に、妙な信憑性を感じてしまいました。
さらには、祖母が生き生きと走る姿を見てなんだか愛らしく、逞しく感じてしまったのも事実です。
「それじゃ、おばあちゃん、頼むわ! エスコートしてね!」と頼んでしまいました。
しかし、これが、最大の間違いでした。