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チームの団結は“タダ”ではない。
レーブが語るW杯優勝の秘訣とは?
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byGetty Images
posted2014/09/29 10:30
FIFAとUEFAが共同で開催した会議に臨むドイツ代表のレーブ監督。W杯後にベテランの代表引退などがあったが、9月7日のEURO 2016の予選ではスコットランドに勝利した。
チームの団結はタダでは手に入らない。
決勝前に危機が発生したときも、普段からのコミュニケーションが生きた。
ウォーミングアップ中にケディラが負傷し、アルゼンチンとの大一番に出場できなくなってしまった。コーチのフリックが「ヨギ! 大変なことになった」とロッカールームに駆け込んできた。
だが、レーブは慌てなかった。日々の練習で23歳のクラマーに対して、「常に準備しておけよ」と声をかけていたからだ。このときもクラマーは「準備できています!」と即答。前半途中に脳震盪で交代を余儀なくされたが、決勝の舞台で堂々とプレーした。
サンクトペテルブルクでは、ドイツが「ファールをせずにボールを奪っていた」、「ボールを奪った直後から守備陣の攻撃への意識が高かった」、「セットプレーで強さを発揮した」といった点もクローズアップされたが、レーブ本人が言うように、やはり最大の勝因は「チーム内に不協和音が流れなかった」ことだろう。
チームの団結はタダでは手に入らない。その陰には、監督による綿密な選手とのコミュニケーションがあった。