テニスPRESSBACK NUMBER
錦織圭、ジョコビッチ撃破で決勝へ!
絶対王者すら押し切る“攻めの姿勢”。
posted2014/09/07 12:00
text by
秋山英宏Hidehiro Akiyama
photograph by
Getty Images
錦織圭が自己最高世界9位というランキングを勝ち得たのは、1大会ずつポイントを積み上げたからにほかならない。しかし、彼の関心は数字の計算にはない。彼を突き動かすのは、シンプルな競争原理だ。上位の選手を倒せば、それだけ自分がのし上がれる――錦織はそんな野性の論理に従って、上位との直接対決で一人一人倒しながら、目標である世界ランクひと桁を達成しようと考えてきた。
昨年の世界ランク10位以内の選手との対戦成績は2勝7敗だった。不満の残る結果だろう。昨年のシーズンオフに『Number845号』で行なったインタビューでは「トップ10の選手にどれだけ勝てるかが課題です」と話している。
今シーズン、トップ10との対戦成績は4勝4敗(全米開幕時)まで改善された。その頑張りが、自己最高位更新につながったと見て間違いない。
立ち上がりから急襲をかけた錦織。
錦織の“下克上”は、この全米でさらに勢いを増している。4回戦で世界ランク6位のミロシュ・ラオニッチ(カナダ)を倒し、準々決勝では4位のスタニスラス・ワウリンカ(スイス)を下した。9月6日の準決勝で錦織がねらった獲物は、世界ランク1位、男子テニスのBIG4の一角、ノバク・ジョコビッチ(セルビア)だった。
立ち上がりから錦織が急襲をかけた。
「ラオニッチの時もワウリンカの時も、少し試合の入りが硬く、気持ちも入りきれていなかったので、昨日の夜にメンタルを準備して、色々、自分で考えた。出だしからしっかり自分のテニスをすることを心掛けた」
と試合後に振り返った錦織が6-4で第1セットを奪う。しかし、第2セットはジョコビッチが主導権を握った。のらりくらりとした独特のペース。錦織の強打がことごとく拾われ、最後は逆襲のカウンターを許し、1-6と落とした。