スポーツ・インサイドアウトBACK NUMBER
苦労人の進撃と王者の安定。
~サイ・ヤング賞の大穴と本命は~
posted2014/08/14 10:40
text by
芝山幹郎Mikio Shibayama
photograph by
Getty Images
デレク・ジーターがホーナス・ワグナーの通算安打記録(3430本)を超えた。イチローもジョージ・シスラーの通算安打記録(2810本。2812本という説もある)を超えた。
2014年8月9日のヤンキー・スタジアム。だが、この日の主役はジーターやイチローではなかった。対戦したインディアンスの投手コーリー・クルーバーが、両者の内野安打を含む4安打1四球を許しながら6イニングスを無得点に抑え、13勝目をあげたのだ。奪った三振は10個。最終的なスコアは3対0。
これで今季、クルーバーは2桁奪三振試合を7度も記録した。インディアンスでは、1976年にデニス・エカーズリーが1シーズン8度の2桁奪三振を達成して以来の快挙だ。しかし、あのクルーバーが……。
今季、突然快投を続けている苦労人・クルーバー。
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1986年4月10日生まれだから、クルーバーはすでに28歳だ。昨'13年こそ11勝5敗、防御率3.85の成績を残してインディアンス先発ローテーションの一翼を担ったものの、それまではまったく目立たない存在だった。メジャーに昇格した2011年から'12年までの2年間を見ても、67回3分の1を投げて2勝5敗で自責点が40(防御率5.35)。お世辞にも立派な成績とはいえない。
そんな苦労人が今季突然、いや、正確にいうとオールスター・ブレイクを境に、驚くような快投を見せている。
7月19日:対タイガース(ロード)
投球回数8回3分の2、被安打7、与四球1、奪三振10、自責点2、勝利投手。
7月24日:対ロイヤルズ(ロード)
投球回数9回、被安打2、与四球0、奪三振10、自責点0、勝ち負けなし。
7月30日:対マリナーズ(ホーム)
投球回数9回、被安打3、与四球0、奪三振8、自責点0、勝利投手。
8月4日:対レッズ(ホーム)
投球回数7回3分の1、被安打6、与四球2、奪三振7、自責点1、勝利投手。
8月9日:対ヤンキース(ロード)
投球回数6回、被安打4、与四球1、奪三振10、自責点0、勝利投手。